良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ビリギャル』(2015)話題の作品をようやく映画館で観ました。架純ちゃん、可愛いですね!

 テレビや雑誌で最近よく見る女優さんの一人が有村架純ちゃんです。ブレイクしたきっかけはNHKの大ヒットドラマ『あまちゃん』でした。ぼくは個人的には橋本愛に注目してきたので彼女の出世も嬉しく思いながら見ていたのですが、去年は能年玲奈が、そして今年は有村架純を見ない日がないくらい活躍しています。  そんな彼女の主演作がこの『ビリギャル』です。もともとは書籍がベストセラーになっていて、今日も本屋に寄ってみると、単行本と文庫本が平積みされていました。
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 素早い映画化だったので、当初はあまり興味がありませんでした。しかしながら独特の人懐っこい笑顔がかなり魅力的だったこと、そしてブログのお仲間であるトムさんが強烈にプッシュしておられたこともあり、本日、有休を取っていたことを思い出し、遅ればせながら映画館まで観に行ってきました。  落ちこぼれ女子高生が難関である慶應義塾大学の受験に合格するまでの軌跡と葛藤を描いて、去年のベストセラーになった『ビリギャル』。内容としては青春映画のジャンルにまとめられます。ありきたりではありますが、王道の展開を採用した脚本は奇をてらわず、非常に見やすい映画に仕上がっております。
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 カットの切り替え、展開のテンポの良さ、ところどころに散りばめられる間違いワードの解釈などは吹き出してしまいます。とりわけ、勉強し始めのころに連発される、勉強していないギャル特有の理解度の低さとユニークすぎる発想は想像を絶するレベルで、受験戦争版『がんばれ!ベアーズ』のようです。  映画ですから、映像が作品を支えるのは当然なのですが、最近はセリフに頼る“映画”が多い中、しっかりと映像と台詞が機能的に整理されています。
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 冒頭、地元の河原の上を通る新幹線が疾走する様子を見て、「あれに乗ったら、人生が変わるのかなあ。」と架純ちゃんが心のなかでつぶやくシーンがあり、これはラスト・シーンでの受験合格後に上京するシーンの伏線になっています。  先月から始まった公開はぼくが住む奈良でもまだ上映が続いています。集客が思わしくない作品は忘れ去られるように二週間くらいで打ち切られてしまう厳しさがあるシネコン・スタイルでは二ヶ月目に入るこの作品は優秀な部類に入るのだろう。
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 じっさい『あまちゃん』のヒロインとして大ブレイクした能年玲奈が初主演した『ホットロード』に続いた二作目の『海月姫』の興行成績は惨敗のようですぐに打ち切られていました。洗脳騒動もあり、今後はどうなっていくのでしょう。  彼女と入れ替わるように今年に入ってから、auのテレビCMやバラエティ番組に圧倒的な露出度で登場しているのが有村架純ちゃんです。彼女が急に出てきたのは何故なのかは分かりませんが、今が売り時なので、しっかりと働いてほしい。
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 さすがの可愛らしさは映画館の巨大スクリーンのアップでも非常に魅力的で、彼女の可愛い顔を見るだけでも、ファンにとってはお宝映像なのではないか。主演女優の魅力でお客を呼べる貴重な人材でしょう。  一年半の軌跡を描くこの作品では新学期が始まる時期の家族での写真撮影、机に飾られた小さな鏡餅、女子高生の夏服や冬服、そしてコートや缶コーヒー(ホットではなくコールドなので架純ちゃんは大ピンチに陥ります。)で季節を表す演出は個人的にはニコニコしながら見ていました。
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 受験に使う教材もお馴染みの赤本だけでなく、何も勉強してこなかったヒロインのためにマンガの日本歴史シリーズだったり、小学生レベルのドリルを使って基礎力を再構築していくなどという工夫は勉強が苦手な子供を抱えている親御さんへの示唆になるかもしれない。伊藤淳史が演じる塾の熱血教師の指導が素晴らしく、ひとりひとりのやる気スイッチを押そうとする取り組みが良い。  周りが何とかしようとするだけではダメなのは親御さんならば分かっているでしょうが、やるのは本人ですので、いかにやる気を引き出すかというのに苦労する。この作品では大嫌いな親に復讐してやろうというマイナスの感情を結果としてプラスに転じさせることにより本人のためにも親御さんのためにもなるという一挙両得のアイデアが披露される。
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 新刊で『ビリギャル』が出版された時に表紙を飾っていた女の子が本人なのだと思っていました。じつはあの印象的な女性はモデルさんだったというのも驚きましたが、本人さんのお母さん、あーちゃんも出版しているようです。  新人女優主演の話題原作の映画化なので、観る価値もないだろうという偏見を棄てて、ぜひとも観に行っていただきたい。お話はオーソドックスですし、親子の会話や夫婦の会話、悩んでいる少女たちとの接し方など見どころはたくさんあります。  十代の子供さんと親御さんが一緒に観に行っても良いかなあという出来栄えで、普段コミュニケーションに難を感じているのであれば、スッと親御さんが言いたいことや娘さんが言いたいことを架純ちゃんや吉田羊・伊藤淳史が語っているので、お互いに素直にコミュニケーションが取れるかもしれません。
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 架純ちゃんを優しく支え続けるお母さん役の吉田羊も最近やたらと出てきますが、長年苦労をしてきた人なのでしっかりしていますし、ぼくらが学生のころによく見ていたチビノリダー伊藤淳史が俳優さんとして活躍しているのも不思議な感じです。  要所要所に地味ではあるが安心して任せられる俳優さんたちを配置していくことにより、主演の架純ちゃんがのびのびと躍動し、オーソドックスな構成で物語に集中させる脚本と映像作りの演出がしっかりと機能している好作品でした。
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 本番中、ピンチに陥る架純ちゃんの切ない表情も可愛らしい(笑)この手の映画にありがちな無駄な恋愛シーンをぶち込まずに、あくまでもほんのり恋心を感じさせる程度の味付けがなされているのも好印象を与えてくれます。  挿入歌として流れてくる現役タワーレコード店舗スタッフ兼歌手のSakuが歌う『START ME UP』の透明感もとても気持ちよく、PVでは架純ちゃんとの共演シーンも見ることが出来ます。 総合評価 84点