良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『パープル・レイン』(1984)プリンス最大のヒット曲満載の青春映画。

 ここ数年、というよりもぼくらが中高生のころに聴いていたロックの大スターが次々に亡くなっています。デヴィッド・ボウイが逝ってしまった後にまさか、プリンスが急死するとは思いませんでした。  ぼくが中学生だったころ、女の子たちはデュラン・デュランカルチャー・クラブカジャ・グーグー(グループは『君はトゥーシャイ』『ライオンズ・マウス』がヒットしましたが、ここから飛び出したリマールの『ネヴァー・エンディング・ストーリー』のほうが映画ファンにはおなじみ。)、スパンダー・バレー(名曲『トゥルー』『ゴールド』が大ヒット。)を買っていました。  そのころぼくが同時代のアーティストでよく聴いていたのはビリー・ジョエルアラン・パーソンズ・プロジェクトメン・アット・ワーク、そしてプリンスでした。ただプリンスは女の子たちの受けが最悪でした。
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 1980年代中盤、創成期のTSUTAYAで借りてきたLPを部室に置いてあるのを見た後輩の女の子が中身を知らずに開けてみると殿下がヌード状態でアップになっているアルバム(LPなのでバカでかい。)ジャケットが飛び出してきたために、「きゃっ!」と言いながら、床に落とすという事態も発生しました。  彼のファンだったぼくに言わせれば、『パープル・レイン』の頃の彼はずいぶんと洗練されてきたころであり、気持ち悪さがマックスだったのは『ダーティ・マインド』や『戦慄の貴公子』のころです。音楽的には『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』くらいから難解さを増していき、『パレード』の先行シングル『Kiss』のPVがたしかモノクロで歌詞だった時には本当に彼の斬新さに驚きました。  セールス的にも一般的な受けも『パープル・レイン』がマックスだったのでしょうが、彼の才能はその後も圧倒的で、『ラヴ・セクシー』くらいまではついていきました。仕事が忙しくなるに従い、徐々に音楽を聴くことも少なくなってしまいましたが、好きだったアーティストの状況は気になるニュースではありました。  最高潮に気持ち悪い頃の殿下
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 好きだったのは『ダーティ・マインド』『戦慄の貴公子』『1999』『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』『パレード』『ダイアモンズ・アンド・パールズ』などのアルバム群です。なかでも『1999』に収録されている『リトル・レッド・コルヴェット』、『戦慄の貴公子』の『ドゥ・ミー・ベイビー』、『ダイアモンズ・アンド・パールズ』に収録されている『マネー・ドント・マター・トゥー・ナイト』などが特にお気に入りでした(今も!)。  アポロニア・コテロ(『テイク・ミー・ウィズ・ユー』『セックス・シューター』は結構イケてます。ついでに綺麗なオッパイも!)、ウェンディ・メルヴォワン、リサ・コールマンがいて、シーラEがいない。個人的にはのちにソロデビューして大活躍するシーラEが好きで、大ヒット曲『グラマラス・ライフ』のシングル盤を買いました。今でもたまに聴きます。
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 覚えているのはアポロニアとプリンスが池でデートするシーン。もちろんエロいキワモノ扱いされていたロック映画なので、彼女は湖に綺麗なオッパイをさらして飛び込みます。彼の言いなりですね。  バイクのうしろに乗ろうとしても、なかなか載せない意地悪で他愛ないシーンなどがあり、冗長に見えるかもしれませんし、彼の素晴らしいナンバー以外は退屈に思える方もいるでしょうが、1980年代、マイケル・ジャクソンに続き、グラミー賞を取りまくった彼の絶頂期を見られるだけでも貴重です。
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 アルバムは累計で当時、2000万枚を売り上げたマイケルの『スリラー』を抜き去る3000万枚のセールスをたたき出したといわれていましたが、本当のところはどうだったのだろう。  映画ではストーリーを成立させる狂言回しとしてジェローム・ベントンとモーリス・デイが機能しています。彼らがいなかったら、味気なくなってしまったでしょう。またただのロック・スター映画に陥らなかった要因としてはDVを抱える深刻な家族問題も横糸に通していたからでしょう。お話は単純でも妙に説得力のある家族シーン、特に母親への気遣いと愛情こそが彼の本性だったのかもしれない。  このシーンのすぐ後で恋人アポロニアの裏切りに対し、自分も父親と同じように彼女に暴力をふるってしまう彼の後悔のまなざしにハッとさせられる。
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 劇中で演奏される『パープル・レイン』での彼の歌唱ナンバーは『レッツ・ゴー・クレイジー』『ビューティフル・ワン(個人的には彼の曲では大好きなベスト5に入るナンバーです。)』『ビートに抱かれて』『コンピューター・ブルー』『ダーリン・ニッキー(彼の個性と才能の幅広さがわかります。)』。  後半では『ダイ・4・U(こういうフザケたタイトルの付け方が彼らしい。)』『ベイビー・アイム・ア・スター(グラミー賞の授賞式で一番知名度が低かったであろうこのナンバーをなぜ歌ったのかは不明。)』『パープル・レイン』です。特に『パープル・レイン』のサウンドの作り込みから始まっていく様子はまるでビートルズの『レット・イット・ビー』みたいで興味深い。  学園祭の出し物程度と批判する方もいるでしょうが、ロック界の孤高のカリスマだったプリンスが曲がりなりにも演技をしているだけでも素晴らしい。昔、夢中で聴いていたロックスターの死はつらいものです。 総合評価 65点
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