『ゴジラVSメカゴジラ』(1993)平成版初登場のメカゴジラ。しかも人類所属の最新兵器!
平成ゴジラシリーズが『ゴジラVSモスラ』からヌルイ描写ばかりで子供向けに大きく舵を切ったことを察知したときに大人ファンのぼくらはこの日が来るかもしれないとうすうす不安を覚えていました。
しかし本当にミニラの跡継ぎとしてベビーゴジラが登場し、しかも孵化に人間の管理のもと、つまり人に育てられる悪夢の日が来てしまうとは残念でした。
ゴジラも地球人が作った新兵器、メカゴジラの圧倒的な火力の前に打ちのめされて、まさかの口から泡を吹いての失神KO負け寸前まで追い込まれてしまう。
それでも初戦で片を付けるはずはないと考えていると、思った通りに優勢もしくは技ありで決まりかけていたのが、メカゴジラお約束の体力消耗からの電池切れ、もしくは過剰な負荷からのショートは平成版でも健在です。
どうみても勝っているのに両者リングアウトという昭和のプロレス・ファンしか分からない、なんとも不満が残る展開が当然のように繰り広げられる。
最終戦でも知能戦では優っているものの太古の野生と核エネルギーが融合したゴジラのスタミナの前ではなんとかお引き取りいただくくらいが関の山でした。
なんだか分からないラドンとベビーゴジラの無用な登場が本来我々が見たかった久しぶりのゴジラ対メカゴジラのシングルマッチを台無しにしています。
前々回の『ゴジラVSキングギドラ』では大スターの両者がシングルでぶつかるという史上初のマッチメイクでファンの心を掴みましたが、今回は余計な要素が焦点をぼやけさせてしまい、集中しにくくしてしまいました。
せっかくのビッグマッチなのに変則タッグになっている感じでファンの期待に応えない東宝の思惑にイラつかされる。無理矢理続けていくのが苦痛であれば、三作で完結させるというハリウッド方式を採用すれば、とりあえず三本一纏めで評価されるでしょうから、歪みを増幅させることも減ってくるだろう。
またシナリオは東宝に言いくるめられたプロではなく、見たいという欲求に正直なアマチュアと腕に自信があるプロが俳優のオーディションのように公募して、ファン投票で決定すれば良作を見られる可能性が上がるのではないか。
ストーリー流出を嫌うならば、ランダムに選ばれた10人くらいの投票で決めれば良いだろう。大ヒットを飛ばした『シン・ゴジラ』の後に続く作品をどのように作り上げていくのか。
ただし何度も書いておりますように観客各々に色々と意見があるでしょうが、ゴジラのいない日本よりも、ゴジラが暴れる日本のほうが楽しい。
1984年版に登場したスーパーX以来、スーパーX2などちょこちょこと出てきて、ぼくらゴジラ自衛隊ファンを喜ばせていた東宝でしたが、今回はガルーダを送り出してきました。
最終形態としてメカゴジラとの合体攻撃を仕掛けたり、まさかの『キングコング対ゴジラ』『フランケンシュタイン対地底怪獣』でもお馴染みの高島忠夫が出演するなど、なかなかの(?)活躍を高島親子が見せていました。
こういう登場の仕方も楽しいですね。病気療養が長引いて、ようやく復帰されたようですが、無理をせずに元気な姿を時々で十分なので、見せて欲しいものです。
平成版初号メカゴジラのパイロットはオジサンの原田大二郎や宮川一朗太でしたが、機龍を駆る釈由美子のほうがカッコ良いし、可愛いなあ。平成版ゴジラ・シリーズではもっとも魅力的なヒロインだった(個人的には!)と思います。
昔付き合っていた彼女が釈ちゃんそっくりだったので、見ると思い出すときもあります。そっくりだったが、顔がそっくりだと性格も似るのだとしたら、かなり恐いということだろうか。
総合評価 60点