良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ヤァ!ブロード・ストリート』(1984)ポールはまだぼくらとともにいる!

 何度やっても面倒臭い、毎年恒例の決算処理作業と書類作成が徹夜も挟んでようやく終わり、一息つこうとAmazonでCDや本の購入を済ませ、今月の支払い金額を確認しに三井住友のサイトへ出向き、真夜中11時にログインしました。今月の金額を確認したところ、普段より2倍以上の支払総額になっていました。  まあ、先月はオーディオ・アンプやCDプレーヤー、付随するスタイラス・クリーナー、レコード用のインナー・スリーヴなどオーディオ関連商品なども購入していたのでそれくらいになるのかなあとも思いましたが、購入した覚えがない日に支払いがされているものが五件ほどあり、Amazonの購入履歴とぶつけてみると3万円くらい合わないものがありました。  このカードは通信販売のみに使っているものだったため、まさかのときに備えて、①暗証番号を容易に推察できないものにする②支払い限度額を手堅く10万円以下に抑える③リスク分散の意味で面倒臭いがあえて複数のカードを使用するというルールで登録しており、先月のオーディオ関連と書籍購入で7万円以上をすでに使っていたので、使用限度金額が3万円くらいの状態でした。  仮に一枚しかカードがなく、支払限度額が100万円とかにしていて、1ヶ月まったく気付かずにいたら、かなり面倒なことになるところです。前もって、自分にもネット絡みのトラブルが起こるかもしれないなあと漠然と思っていたので対策をしておいて損はなかったようです。
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 まあ、それはさておき、今回の不正使用に対する事後処理をしていかねばなりませんので、眠い目をこすりながら、まずはAmazonに連絡して、アカウントの乗っ取りなどがないか調べてもらい、そうではないのが分かったので、まずは原因かもと考えられることの一つは可能性が消えました。  ただカード情報が抜き取られていたのは事実なので、Amazonなどの通信販売サイトでの今後の支払いは他のカードに切り替え、不正利用されている日付と金額を確定させました。  次に夜中の零時過ぎに三井住友に連絡して、まずは先ほどの事情を伝えて、これ以上の二次被害を防ぐためにカードを止めてもらい、翌朝に再度連絡して、このカードは通信販売専用のもので屋外には持ち出さず、家の中で管理していたので、スキミングとかは考えにくいと説明しました。  するとこちらにまったく落ち度がないことを理解してくれた係の方はすぐに対応策を取って下さり、保証対応になるので、金額の引き落としはされないことを伝えてくれました。ネットで情報を取られたのでしょうかと尋ねると、暗証番号がヒットするまでひたすらに入力を繰り返すアプリがあり、たまたまそれに僕のカード番号がヒットしたようですと伝えられました。
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 なんだか僕らの住む世界は恐ろしく変貌しつつあるようです。ニュースなどでよく聞くのは架空サイトからの身に覚えがない請求だったり、エロ動画サイトからの請求だったりですが、まさか室内管理しているカードからでもお金を抜き出せるというのは驚きです。  ことの顛末を会社で話したところ、皆一応に驚き、今晩家に帰ったら、すぐに支払総額のチェックをやりますと言っていました。トラブルはどこからやってくるかは分かりませんし、いざ巻き込まれたときは慌てず、騒がず、まずはリカバリーしていくために何が必要かを考えて、動いていきましょう。カードは引き落としまでに時間差があるので、まずは落ち着きましょう。  近況はさておき、今回の記事に選んだのは1984年、つまりポールがスティービー・ワンダーマイケル・ジャクソンらと組んで作品を発表していた1980年代の前半に劇場公開された、『ヤァ!ブロード・ストリート』です。  この映画でのポールは新作のマスターテープを盗まれるというアイデアを使っていますが、当時のぼくはこのエピソードからフィル・スペクターに『ロックン・ロール』のマスター・テープを持ち逃げされたジョン・レノンを思い出してしまい、まだ死後数年しか経っていない状況でしたので、いまいち笑えませんでした。  それでもポールはエンターテイナーとして、生き残ったビートルとしてコンスタントに僕らに生存をアピールするように新作を発表し続けてくれました。ジョンと常に比較され、批判されることの多かったポールですが、ビートルズでのポールの功績は絶大であることは誰にも否定できません。
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 作曲の才能はもちろんですが、プレーヤーとしてもビートルズを支えていたのはベース奏者としてのポールといまいち世間一般の評価が低いドラマーのリンゴ・スターなのです。リズム隊の彼らがいてこそ、稀代のロックンローラーだったジョンの歌やジョージの繊細なリード・ギターが生き生きと躍動していました。  最近、十数年ぶりにビートル・マニアに復活し、アナログレコードを聴きまくっていますが、メロディアスなポールのベースや独特のリズムを刻むリンゴのドラム無くしてはビートルズサウンドには成り得ないことに改めて気づかされる毎日です。  先日のお休みには『ヘルプ!』『ラバーソウル(英国盤及びキャピトル盤)』『リヴォルヴァー』『ヘイ・ジュード』などを聴いていました。何気にぼくはキャピトル盤『ラバーソウル』が好きで、昔持っていたアメリカ・キャピトル盤ではなく、今持っているのはカナダ盤ですが、内容は同じです。  カナダ盤の特徴としては音質が良く、特に音の分離がはっきりしていて、楽器の鳴りがクリアなのが特徴です。通常のイギリス盤と選曲がかなり違い、『ドライブ・マイ・カー』『ひとりぼっちのあいつ』『恋をするなら』『ホワット・ゴーズ・オン』が外されて、なぜかイギリス盤『ヘルプ!』に収録されている『夢の人』『イッツ・オンリー・ラブ』が入っています。
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 レコード時代でいうとA面トップにアコースティック・ギターを前面に押し出した『夢の人』、二曲目に『ノルウェーの森(ノルウェー製の家具)』、B面トップに『イッツ・オンリー・ラブ』を持ってきているので印象はがらりと変わり、フォーク・ロックのアルバムのように映ります。またもしB面ラストにいつものようにカバーの曲、たとえば『バッド・ボーイ』か、オリジナルの『アイム・ダウン』でも配置していれば、ヘルプ感満載になってしまっていたことでしょう。  その他の有名な特徴としては『アイム・ルッキング・スルー・ユー』の出だしでギターの入りを間違えるバージョンがマニアを購入に向かわせます。ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンはこれを聴いて、神の啓示を受け、『ペット・サウンズ』を製作したそうです。  ビートルズが意図したイギリス盤ではなく、キャピトルが商売の都合で本来の形を失ってしまったキャピトル盤を聴いて、新作の発想を得るというのは天才ならではなのか、大いなる勘違いがたまたま良い方向に向かっただけなのか理解に苦しむところです。  ポールは『ペット・サウンズ』に影響されて『サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド』へと舵を切っていくようですので、昔はお互いに刺激を受けながら、レコード制作に向かっていたのでしょうね。  70~80年代のポールは常に批判されていましたが、それでも多くの人が聴きたいもの、つまりビートルズ時代の名曲をライブでも歌い続け、その姿をファンの前にさらし続けてくれました。  働かなくとも、毎日数億円換算の資産が増え続けるのですから、わざわざ批判されるのが分かっていることをせずとも暮らしていけたはずですが、あえてメディアとファンの前に登場し、新曲を聴かせてくれました。
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 この映画もその一環で、しかもビートルズ時代の名曲『グッデイ・サンシャイン』『イエスタデイ』『フォー・ノー・ワン』『ヒア・ゼア・アンド・エブリホエア』『エリナー・リグビー』『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』とウィングス時代のヒット曲『シリー・ラブソング』、そしてシングル・カットされた『ノー・モア・ロンリー・ナイト』が収録されています。  まあ、往年のキレはまったくなく、安易だと言うのは簡単ですが、お金が必要ではないポールがファンが聴きたいであろう曲を再演してくれるわけですから、ありがたく聴けよと言いたいwww  トレーシー・ウルマンとか、リンゴ・スタージョン・ポール・ジョーンズ(元レッド・ツェッペリン)、TOTOジェフ・ポーカロとスティーブ・ルカサー、デヴィッド・ギルモアピンク・フロイド)との超豪華な共演はポールならではでしょう。なんだか『バック・トゥ・ジ・エッグ』のセッションみたいです。ジョージも参加したら、楽しかったでしょうが、バカなマスコミが騒ぎだすので、静かな生活を望むジョージが止めたのでしょう。  劇中で個人的に楽しかったのは『ソー・バッド』のシーンです。ぼくがリアルタイムで聴いていたころのもっとも好きなスロー・バラードの曲で、いまでもレコード盤で『パイプス・オブ・ピース』に入っている、このナンバー目当てにプレーヤーに載せます。  映画の出来自体はあまり芳しくはありませんが、動いているビートルを見ることが出来る貴重なフィルムなので、文句は言うまい。  総合評価 52点
ヤア!ブロード・ストリート [DVD]
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
2003-11-21

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