良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『V.マドンナ大戦争』(1984)懐かしのアイドルや子役が出演。

 『V・マドンナ大戦争』は中学生の頃に封切られた作品でしたが、じつは原作小説を先に読んでいて、そのあとに映画を見るという現在の個人的なルールからは外れた見方をした作品でもあります。  ちょうど夏休みで、友人が買った小説を借りてきて読んだのが最初の出会いでした。話の筋としては『七人の侍』の舞台を現在の学校に置き換えたパロディで、当時流行っていた『狂い咲きサンダーロード』『マッド・マックス』などのバイオレンス風味も利かせた感じに仕上げようとしたようです。  タイトルから連想するのは『ロリ・マドンナ戦争』です。あの映画は隔絶されたど田舎が舞台の血で血を洗うような激しい抗争を描いていましたので、この作品の展開とはかなり違います。
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 主演を務めたのは沖縄からやってきたアイドルですぐにもといた場所に戻っていった宇佐美ゆかりです。脇を固めていたのがケンちゃんシリーズ(洗濯屋ではない!)に出演していた人気子役だった斎藤こず恵がちょっと太った思春期のころに登場している貴重な作品でもあります。  彼女を最後に見たのもこの作品なので、その後はどうしたのかは定かではありません。主演の宇沙美ゆかり と幼少時から知っていた斎藤こず恵以外では中村繁之渡辺祐子、速川麻樹、黒羽まゆみ、ソフィー、今野りえ、麻生肇、片山由香、坂井徹、柄沢次郎、時任三郎、ミッキー・カーティス、村上里佳子蜷川有紀(叔父は蜷川幸雄。敵のラスボス役)らが出演しているというクレジットが出てきますが、ラストの4人以外はもはや誰が誰だか分からない状態です。  こんな感じの作品はアイドル映画によくあり、セイントフォーやおにゃん子なども映画に出ていましたが、たぶん今見るとほとんど分からないのでしょう。もちろん、昔はだいたい顔と名前が一致していたものの、業界に生き残っていない人に関してはほぼ覚えてもいない。
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 チェッカーズや吉川晃司もいくつかの映画に出演していましたが、後の対立やNGなども多くあるようで、ビデオ時代には販売されたり、レンタルに並んでいたモノがDVD化されないというのもよくあります。まあ、単純に需要がないというのも大きいかもしれない。  仮に販売して、資金回収できる算段が付くのであれば、お金第一主義の業界なので、手段を尽くして出してくるはずなので、儲けの見込みがないから出さない、もしくはあとあとの面倒の方が鬱陶しいから放って置こうという判断になっているのでしょう。  実際、AmazonでDVDを探してみようとしましたが、出てくるのは大昔のビデオテープが5000円で出品されているだけで、DVD化されている形跡はない。そんな歴史の彼方に追いやられている今作品ですが、ぼくはたまたまこの作品のビデオテープを持っているので、光を当てるべく、30年以上の時空を超えて、今回、記事にするべくビデオデッキに掛けて見ました。
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 さいわい、巻き込みは無いようで、再生が始まりましたので、根気よく見ていきます。学校の生徒会予算300万円を“年貢”のように奪いに来る柳生軍団(www)との全面対決のために斎藤こず恵が知り合いのつてを頼りに用心棒となる宇佐美ゆかりら七人をかき集め、“農民”と化している無気力な全校生徒たちを教育しながら、襲撃に備えて行く。  途中、喫茶店での打ち合わせシーンでは「乾杯しよう!」「ビール!」などという言葉が飛び交うなど今ではアウトになってしまう会話が出てきます。決戦シーンは粗が目立つ日中ではなく、夜間決戦を選んでいます。暴走族の迫力や火薬を多く使う見せ場が多いので、正しい選択だったと思います。  女子プロレスラー、モトクロス・レーサー、花火職人、スケバン、コンピューターオタク、売春婦、アクション女優という強いんだか、弱いんだかよく分からないメンツを集めての決戦は序盤で用心棒側が勝ち、中盤は各個撃破でボロボロに粉砕されるものの、最終戦では反撃して勝利するという流れになっています。  今の目で見れば、チャチだなあとか言えますが、それなりにアクションは頑張っていますし、良いものを限りある予算内で仕上げていこうとする意志は感じますので、批判的に見るだけでなく、作品を楽しみたい。
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総合評価 52点
ロリ・マドンナ戦争 [DVD]
復刻シネマライブラリー
2017-09-25

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