良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ロッキー4 炎の友情』(1986)最強の敵ドラゴ登場!JBもシャウト!

 数多いロッキー映画の中で映画ファンの評価が高いのは2作目までで、3作目からは娯楽映画として量産体制に入り、家族でも安心して見ることが出来る娯楽コンテンツとして、あまり考えることなく、消費されるだけの存在になりました。

 それでも『ロッキー4 炎の友情』までは大ヒットシリーズとしてそこそこ話題になっていました。ロシアからの刺客として登場したドラゴ(ドルフ・ラングレン)は最大の敵としての資格、つまり強く、大きく、憎たらしく、冷たいイメージを身に纏い、悪役に相応しいヴィジュアルが他の対戦相手にはなかった魅力に満ちていました。

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 1980年代中盤当時の状況を説明しなければ、30代以下の人にはピンとこないでしょうが、アメリカとソビエト連邦(今のロシアとウクライナなど)は政治的にも軍事的にも対立し、現在の米中関係よりも深刻な緊張感が世界を覆っていました。

 それが少しずつソビエトが崩壊に向かい、ゴルバチョフが打ち出したペレストロイカが浸透する状況下で製作されたのがアメリカの国威発揚映画の担い手となりつつあったシルベスター・スタローンランボーシリーズやこの『ロッキー4 炎の友情』でした。

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 『ランボー3 怒りのアフガン』ほどのゴリゴリなマッチョな感じはなかったこの作品は何とか娯楽作品としてのクオリティーを保っています。共演者にブリジット・ニールセンという大きなブロンド美人を起用していますが、彼女は当時のスタローンの浮気相手(?)であり、その後結婚し、すぐに離婚します。

 ストーリー自体はシンプルでエキシビションマッチに登場したカール・ウェザース(アポロ)をリング上で殴り殺したドルフ・ラングレンに対して、かつてのライバルの敵討ちのために復讐するというものです。

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 単純明快で誰にでも筋書きが読めるお話です。まあ、単純でもそれなりに楽しめた理由はメカゴジラのように冷酷で人間の感情に欠けるドルフ(共産主義への嫌悪感をたいげんしていた)への分かりやすい憎悪とヒーローだったロッキーへの感情移入が出来たからでしょう。

 『ロッキー3』での『アイ・オブ・ザ・タイガー』で有名になったサヴァイヴァーは途中に『ベスト・キッド』の主題歌『モーメント・オブ・ザ・トゥルース』をはさみ、この映画に提供した『バーニング・ハート』が彼らにとっては最後のスマッシュヒットになってしまいました。

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 音楽面では“JB”ことジェームス・ブラウンも忘れられません。リングに登場して、大御所に相応しい貫録で新曲『リヴィング・イン・アメリカ』を熱唱する様子が印象深い。もっとも本人はあまりあの曲を好きではなかったというのを読んだことがあります。

 この作品の後はロッキー・シリーズもランボー・シリーズも迷走し、スタローンのキャリアも危うくなっていき、『ジャッジ・ドレッド』で底辺まで落ち込みますが、『エクスペンダブルス』で復活しました。『ジャッジ・ドレッド』もそこそこ笑えるので、それほど嫌いではありません。

 中身はスカスカで内容も単純ですが、なぜか覚えているのは中学生のころに見たからでしょうかねw

総合評価 60点