黒澤明
黒澤明監督の撮った現代劇の中で、もっとも素敵な作品です。オープニングでの、シューベルトによる『楽興の時』は暗い気分をうきうきさせてくれます。同じシューベルトの作品である、クライマックス・シーンでの『未完成交響曲』ばかりがクローズ・アップさ…
またもミュージカルの要素を持つ、1945年製作の黒澤明監督の4作目です。歌舞伎の『勧進帳』と能の『安宅』からの翻案物となるこの作品には、榎本健一(エノケンさん)の魅力が画面いっぱいに拡がっていて、シリアスな局面で緊張している義経一行との対比が…
黒澤明監督、1945年の作品である『續 姿三四郎』は監督本人が自ら望んで撮った作品ではなく、会社の要請にしたがって作られた映画です。使えるフィルムの量にまで制限があったとされる戦争当時の映画界においては、映画を撮れるだけでも幸運でした。 乗…
黒澤明監督、1944年の作品にして唯一の国策映画。太平洋戦争期間中の最も激しく、出口の見えない情勢の下で製作されました。「撃ちてし止まぬ」のスローガンがオープニングから出てくるだけでも特異な状況を理解できることでしょう。 尋常ではない状況の…
2001年製作のドキュメンタリー作品であり、『トラ・トラ・トラ!』についてのフォックス側の見解で綴られている興味深い作品です。黒澤監督が東宝で、最後のモノクロ作品にして、持てる映画製作技術の全てを総動員した『赤ひげ』(1965)の撮影後、彼のフ…
1943年という太平洋戦争の真っ只中に作られた、黒澤明監督の記念すべきデビュー作にして、理屈抜きに楽しめる素晴らしい作品。戦時中という言論統制が強い時代の中でも大衆が見たかった映画をデビュー作から作り上げた黒澤監督の苦心と才能。 平和な時代に生…