良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『青春グラフィティ スニーカーぶるーす』(1981)小学生当時、女の子はみんなたのきんファンだった!

 ぼくらが小中学生だったころまでは春夏冬の長期休み期間中には必ずと言っていいほど、そのときどきに旬だった大人気アイドル主演映画が何本も公開されていました。  ぼくらより前の世代ならば、タイガースやスパイダースやジャガーズなんかの主演作品でしょう。ぼくらの世代ならば、ピンク・レディはもちろん、たのきんトリオ、シブがき隊などのジャニーズ系は女の子たちの大人気でした。
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 男の子向けには松田聖子小泉今日子ら人気アイドル歌手の映画も次々と公開され、メディアの寵児だった角川映画は負けじと原作タイアップとアイドル女優の三人娘(薬師丸ひろ子原田知世・渡辺典子)を前面に押し出して、数多くの作品を世に送り出しました。  『セーラー服と機関銃』や『時をかける少女』は名作として今でも人気を保ち、テレビやアニメでリメイクもされていますし、セイント・フォーの『ザ・オーディション』や吉川晃司の『すかんぴんウォーク』のように黒歴史的な作品も存在します。チェッカーズも『TANTANたぬき』なんてのを出していましたが、メンバー間の確執が根深いグループですので現在はソフト化されているのでしょうか。
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 アイドル映画のなかでは『セーラー服と機関銃』や『時をかける少女』『晴れ、ときどき殺人』とともにこの『青春グラフィティ スニーカーぶるーす』もまた出来はともかく、ぼくにとっては思い出深い一本です。  当時のクラスで仲が良かった女の子がマッチ(近藤真彦)の大ファンで「カッコいい!!」「大好き!!」と言い続けていたのと、『3年B組 金八先生』に生徒役で出ていて、長ランで登校するエピソードがあり、いつの間にか気にかけるようになっていました。ロッカッキーっていうお菓子のCMもありましたね。
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 小三か小四のたしかお正月映画か春休み映画(どっちだったか、覚えていません。)として公開されたこの映画はたのきんトリオ(田原俊彦近藤真彦野村義男)の人気もあって大ヒットを飛ばし、以降数年間以上もジャニーズ系映画は量産されていきます。  「面白いから見なよ。」と言われていたので、たのきん全力投球という番組もよく見ていました。松田聖子がゲスト出演していた記憶もありますが、定かではありません。
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 ストーリー展開としては野球の才能で将来を嘱望されていた不良っぽいトシちゃん(ピッチャー)とニキビだらけで青春真っ盛りのマッチ(キャッチャー)が高校野球や恋愛に打ち込むものの、ヤクザな大人の邪魔が入り、色々なトラブルを経て、最大のクライマックスとして暴走族との戦いの中、トシちゃんのバイク事故死で幕を閉じるという暗めのエンディングの作品でした。  もっともトシちゃんが死んでから、誰も観客がいないスタジアムでマッチとヨッチャンがキャッチボールをし始めたかと思うと、急に「トシー!」と絶叫し出すので、見ていて「おいおい、どうした?」とシュールな展開にずっこけました。
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 テレビCMでは真夜中にトシちゃんがバイクで突っ込んでいくシーンとマッチの「トシー!」という絶叫が何度も流れていましたので記憶している方もいるでしょう。  お金持ちの同級生たちは映画館まで観に行っていましたが、貧乏なぼくらは彼らが見てきた話を聞くしか出来ませんでした。何年か経ってから、テレビ放送されていた記憶がありますが、ぼんやりとしか覚えていません。
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 そのまま時は過ぎ、ぼくらもすっかりオッサンになってから、妙に当時の映画を見たくなることが増えてきて、この『スニーカーぶるーす』のDVDをTSUTAYAで探しましたが、なかなか見つからず、とりあえずあった『ハイティーン☆ブギ』のVHSビデオを借りている自分に笑いそうになりました。  しかしながら、ずっと色々なお店を探してもないはずで、たのきん映画はすべてDVD化されていないことを知りました。トシちゃんがジャニーズを辞めちゃったせいなのでしょうか。
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 知り合いの伝を頼り、なんとかこれのVHSビデオをまだ持っているジャニーズ・ファンに貸してもらい、30年ぶりに見ることが出来ました。いやあー、若い!!マッチもトシちゃんもヨッチャンも若々しくて、懐かしい。  ただ時が経つというのは残酷であり、上手く年齢を重ねるのは難しいようで、マッチとヨッチャンは今の方がカッコいいのですが、トシちゃんは昔の姿がカッコいい。このへんがもしかするとリリースされない理由なのかもしれない。
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 ジェームス・ディーンを意識したようなトシちゃんのスタイルは当時の彼ら3人の中では一番決まっていて、スターとして輝いていました。いつからアイドル映画はなくなったのだろうか。  南野陽子浅香唯まではスケバン刑事モノがあったのですが、光ゲンジや少年隊などのジャニーズ系は聞いたことがありません。集客が見込めなくなったのでしょうか。
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 ジャニーズ映画が復活するのは6人体制だった頃のSMAPの『シュート』まで待たねばなりませんし、関ジャニ∞が主演した『エイト・レンジャー』は久しぶりの作品でした。  これからも作られていくでしょうし、その時々のファンは楽しみにしていくでしょう。ただ、アイドル映画の流れは変わってきているようで、AKB48のドキュメンタリーが三年連続で製作されたりしていて、よりリアルな姿を知りたいというファン側の要求が強くなってきているのかもしれない。 総合評価 50点