良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『HERO』(2015)これを観終わったら、ソーセージを7本食べたくなるかも?

 木村拓哉主演、北川景子共演による劇場版『HERO』第二弾が先週末から公開されています。ドラマの第一シーズンからずっと見てきましたので、愛着はありますが、いつまでこういったドラマ完結後に映画化するという流れは続くのだろうか。  テレビ特番ではなく、わざわざ劇場のスクリーンに掛けるからにはお金と時間の対価としての完成度が要求される。さあ、今回の劇場版は厳しい観客の目にはどう映るのだろうか。と厳しく書き出しましたが、僕はこのシリーズのファンなので単純にうれしい。ついでに『相棒』や『臨場』シリーズも好きです。
画像
 フジ系列のテレビ局では当然のように猛烈な宣伝活動を実施していて、木村拓哉はじめ出演者たちがあちこちの番組に引きずり出されています。映画の仕事を受けるときには契約の中に宣伝活動への貢献も含まれているのでしょうね。  『HERO』がそうだと言っているのではありませんが、バラエティなどに慣れていない俳優さんたちの困惑は彼らの表情からも窺えますので、無理やり番組に連れてくるのではなく、向き不向きを考慮したほうが良いのではと思うこともあります。
画像
 今回の出演者に関しては場馴れしている人ばかりなのでそういうことはないのでしょうが、「あるよ。」で人気のマスター役の田中要次(個人的には一番好きなキャラクターです。)はミニドラマには出ていますが、番宣では見たことはない。そんなこんなを考えていると本編が始まりました。  いきなりのサスペンスっぽい洋館での悲劇と共に物語が転がっていきましたので、なんだか『HERO』っぽくないなあと一瞬不安になりましたが、城西支部でのお馴染みのメンバーがワンシーン・ワンカットで登場してくるとドラマ・ファンにはなじみのある日常が安心感を与えます。
画像
 360度パンのようなカメラをぐるぐる回す撮り方が鼻につきますが気にならない人には特になんてことはないのでしょう。今回、登場してくるフランス系架空国家ネウストリアの大使館が舞台になるこの映画では外交官特権の壁にぶち当たりながらも難事件をシンプルに解明していく木村拓哉(久利生)検事とブツブツぼやきながらも最後は彼を助ける周りの仲間たちという構造はドラマと同じです。  小ネタとして外国独自のゲームであるスパング(だったかな?)で遊ぶシーンにリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』の壮大なテーマを流し、『2001年 宇宙の旅』での猿人が空に骨を放り投げるシークエンスを豪快にパロディ化しています。
画像
 このとき順次投げられる鉄球が太陽系の惑星と同じ数だけ登場します。これ以外にもあちこちにドラマでの小ネタを入れてきますが、仮にまったくテレビドラマを見ていなくとも、十分に楽しめる内容に仕上がっています。  今回、存在感を示したのは久しぶりの登場となる松たか子でした。彼女がしっかりと機能しているので、というか脚本が彼女をメインに持ってきているために明らかに北川景子が割りを食っていて、残念ながらその他大勢の中の一人という立ち位置から抜け出していませんでした。二人を魅力的に描くより、松たか子を見せたいという意志を感じます。
画像
 映画の設定ではなぜか近未来の平成27年のクリスマスあたりになっているので、彼らの衣装も公開時の夏場には暑苦しいコート姿などの冬服です。おそらく公開終了後の年末のタイミングでのDVD発売を睨んでの設定なのでしょう。  また事件解決後では松たか子が婚約者の弁護士(アンジャッシュ児嶋)相手に他に好きな人がいると電話で告げるシーンもあるので第三シリーズが始まるのだろうと推察できます。
画像
 北川景子がどうなるのかは分かりませんが、各シリーズ毎にヒロインを交互に入れ換えるというやり方が見られるかもしれません。需要があるかどうかは分かりませんが、たぶんフジテレビが視聴率的に困れば、案外早い段階で第三シリーズ及び一年後の完結編の映画化が控えているかもしれない。  個人的に一番笑ってしまったのはドラマシリーズ中で杉本哲太が恋人だった吉田羊を捨てて、政略結婚で結ばれた角野卓造にそっくりの娘(嫁さん)役でファン待望のハリセンボン近藤春菜が写真であるもののようやく登場したことでした。次期シリーズではぜひとも近藤・角野の絡みを観たい。映画館の大スクリーンで彼らを観る価値があるかと言われれば無いのですが、ファンとしては観たいなあ。  総合評価 70点