良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ビートルズのレコードとの出会い』買い始めてから40年

 お年玉を握りしめて、ビートルズのレコードを買って、不良に遭わないように帰路についたのはたしか1982年でしたので、実に40年も前のことになります。
 
 買ったのは中学に入ってからでしたが、ビートルズをはじめて意識して聴き出したのは1982年のたしか春先にオンエアされた、徳光さんと福留さんの司会の番組でした。
 
 たしかランキング形式で視聴者リクエストのベスト20だか、30だかを発表していき、歌っている映像を流す感じだったと記憶しています。うっすらと覚えている感じでは高島忠夫だった気もしましたが、当時の人気アナ二人だったのです。
 
 一位はたしか『イエスタデイ』で、二位がちょうど『悪霊島』がヒットしていたためか、『レット・イット・ビー』でした。
 
 ただ、なにぶん四十年前ですので、細部までは覚えていない。ビートルズのドンピシャ世代ではないぼくの耳にもスンナリと彼らの歌が入ってきたのはおそらく幼稚園児の頃に毎日見ていた『ひらけ!ポンキッキ』の影響による所が大きい。
 
 『プリーズ・プリーズ・ミー』を効果音として使い、『ヘイ・ジュード』をペギー葉山のお話のあとにエンディングで流すスタイルは今の感覚でも新しかったと思います。
 
 ついでにコニー・フランシス『カラーに口紅』もよく使われていました。ただ子供の記憶はテキトーなので、『カリキュラ・マシーン』『ママと遊ぼうピンポンパン』『ロンパールーム』『おはようこどもショー』はゴチャゴチャになっています。

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 中学の同級生のお兄ちゃん(当時は高校生)がビートルズ好きで、その頃の僕らが買えなかったレコードを進学祝いに買ってもらったそうで、そのカタログタイトルは『ビートルズ・ボックス』。夢の八枚組でした。八枚組!
 
 のちにビンボーなファンにとっては憧れとなるジョージ・ハリスン『オール・シングス・マスト・パス』『バングラデシュ』の二倍以上の枚数に圧倒されます。
 
 もっとも友人宅で見た『ビートルズ・ボックス』の何だかセンスがトホホな包装や中ジャケにはモヤモヤしましたが、中身の良さには変わりはない。
 
 すぐに全8枚分のコピーを頼み込み、まだ中学生にとっては高かった新品のカセットテープを十本ほど渡し、ついでに『レット・イット・ビー』『マジカル・ミステリー・ツアー』も録音してもらいました。
 
 録音はレコードからだとコピー、ラジオからだとエアチェック、テープからだとダビングと微妙に呼び方が変わり、マニアはしっかりと区別していたのも懐かしい。
 
 テープについてはビートルズとかはメタル・テープというお金持ちもいましたが、ビンボーなぼくは中学生の頃はソニーのAHFやマクセルのXL2を愛用していました。
 
 TDKもカセットテープを売り出していて、ちょこちょこ使っていましたが、何故かあまり印象が残っていない。
 

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 まあ、カセットテープの思い出はともかく、実はこのボックスに収められていた多くの曲のバージョンがレアテイクばかりだったと気づくのは数十年経ってからでした。
 
 そんなこんなで半年くらいはこのボックスを録音してもらったテープを聴きまくり、同じく同時期にビートルズローリング・ストーンズレッド・ツェッペリンなどにハマった友人たちとガヤガヤ感想を語り合いながら、沸々といつかは自分もレコードを揃えたいなあと考えていました。
 
 そして、中2の秋頃、話をしていても誰も持っていなかった『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を買いに行くことに決めました。
 
 テクテクと休みの日に住んでいた市内の繁華街のレコード屋さんでアルバムを探しましたが見つからず、街の裏通りの端っこにあった中古レコード屋さんに入っていきました。
 
 するとお目当てのサージェントのアルバムは1500円くらいで在庫があり、すぐに購入を決めて、帰り道は早く聴きたくて、ワクワクしながら歩いていました。
 
 自宅のレコード・プレーヤーにマニュアルで慎重に針を落とすと歓声に後押しされながら、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が始まりました。
 
 『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』などボックスで多くの曲は聴いていましたが、バンドの意図通りの曲順で1枚を聴いていくとまるで別物に思えてきました。
 
 もっともすぐにこのアルバムに馴染めたわけではなく、感受性の強い学生でも『ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー』『フィクシング・ア・ホール』『ラブリー・リタ』などには正直「なんだコレ?」という感じでした。
 

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 1980年代にボックス・セットを聴いて、その後がどうなったのか知っているぼくでも「?」の楽曲が多かったので、1967年にリアルタイムで聴いた方はどれほどの衝撃を受けたのだろうか。
 
 さいわい1981年にYMOが出した難解なアルバム『テクノ・デリック』で耐性ができていたこともあり、3回目以降はジョージのインド料理にも対応していました。
 
 当時購入した盤は今はなく、記憶をたどるとシッカリした厚紙ジャケ、ライナーはなし(旗帯ならば分かりやすい)、黒の中袋、レコードは通常の黒盤、会社は東芝EMIでした。
 
 おそらくいわゆる緑帯の“フォーエバー帯”か、1980年代は一般的だった“旗帯”のどちらかでしょう。解説が詳しいのが旗帯盤で、旗帯を購入するときはこのライナー目当てです。
 
 結局、そのレコードは途中、CD発売(CDのインナー・グルーブを最初に聴いたときは故障かと戸惑いました)なども挟みつつ、大学卒業時まで聴き続けました。
 
 実は引っ越し時に業者のミスでほぼすべてのビートルズ関連のレコードを失いましたが、それに気づいたのは一年後に実家に帰ってからでしたので、業者の電話番号なども分からず、どうしょうもない状態でした。
 
 仕事をし出した頃でしたし、CDでは買い直していたため、当時は仕方ないか位の感じで当時全盛期に入りつつあったCDを聴いていました。
 
 ただ忙しい中にたまに聴くCDからはどうしても、かつてレコード時代に感じていた音の感触というか質感が消えていて、社会人になると感受性が鈍ったからと自分に言い聞かせていました。
 

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 そんな時代が十数年続き、今から十年以上前にふとしたきっかけにオデオン盤『プリーズ・プリーズ・ミー』が聴きたくなり、ヤフオクに参戦し、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』『赤盤』『青盤』なども落札して行きました。
 
 すると音の温かみというか円やかさがCDとは違うことに気づき、再度ちょこちょこ集めだしました。
 
 ただヤフオクというのは業者次第で粗悪品を掴まされることが多く、未だにその状況は変わらない。ただあくまでも、ちょこちょこと気になったのを落札していた程度でした。
 
 転機になったのはたまに読んでいたレコード・コレクター紙で連載されていた森山直明さんのバージョン違い関連の記事でした。
 
 まだ公式盤として、アップルからもキャピトルからもボックスが出ていない頃です。もっとも公式盤が出るまでにはブートCDでモノラル盤はほとんど持っていました。
 
 ただCDばかりで、レコードまでは進んでいません。とりあえずはCDでイギリス・モノラル盤関連、キャピトル盤関連、各国人気盤を確保し、聴いていましたが、やはりしっくりとは来ない。
 
 仕事も忙しかったので、あまり音楽そのものも聴かなくなり、さらに年月が過ぎて行きました。
 
 そして、二年ほど前に近所のビルにビートルズ専門のB-SELSさん

b-sels.on.omisenomikata.jp

を訪れ、一気にビートルズ・ブームが復活しました。
 
 『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に関してはステレオだけで犬笛・インナーグルーブのあるなしと何もなくいきなり終る盤などもあり、4枚ほど所有していて、こちらでは赤盤と緑帯盤を購入していましたが、ついにイギリス・オリジナルのモノラル盤を購入しました。(写真はステレオ盤)
 

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 最近、自分の中ではビートルズのイギリス・モノラル盤ブームの真っ只中にあり、どうせならとオーディオ・テクニカのモノラル・カートリッジを購入し、本来の音で聴いています。
 
 ステレオ針で聴くとどうしてもパチパチとノイズが多い盤でもモノラル針できちんと聴くと驚くほどノイズが減ってきます。
 
 音がとてもマイルドに再生されます。マイルドというのは優しいというようなイメージでしょうが、ここで言うマイルドとは音の深み、適度な音圧、音の新鮮さのバランスに優れているという意味で使っています。
 
 ステレオ盤が手持ちレコードの95%以上を占めますので、残り5%近くがモノラル盤となります。針圧調整はめんどくさいですが、ヘッド・シェルの予備を購入し、聴く盤により付け替えるのが一般的かもしれません。
 
 僕個人は間違えてステレオ盤をモノ針で再生すると盤を傷つけることを考慮し、前に使っていたプレーヤーをステレオ用、新しい方をモノラル用に使っています。
 
 たださすがに二台持ちは稀でしょうから、最も現実的に無理なくステレオとモノラルを切り替えるには軽い方、おそらくはステレオ・カートリッジを装着しているヘッド・シェルの空いている穴に適合する寸法のビス(たぶん2.5㎜~2.6㎜程度)をホームセンターなどで購入してみましょう。100円くらいで売っています。
 
 考え方としては、重量が違うステレオとモノのカートリッジの軽い方にビスを挟んで加重を掛けることで、カウンターウェイトを重くして、モノラルのウェイトと同重量にすれば、いちいち針圧調整せずともヘッドシェルの交換だけで済みます。
 
 思えば遠くへ来たもんだで四十年前はまさかモノラル盤まで辿り着くとは思いも寄りませんでしたが、これからの数十年も彼ら4人が残した音楽と彼ら二人が作っていく音楽を楽しみたい。新作は当然アナログで購入し続けます。