良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『プラン・9・フロム・アウター・スペース』(1959) アメリカ映画史上最低の映画。 ネタバレあり。

画像

 エド・ウッド監督の1959年の作品。アメリカ人の映画ファンみんなが最低だというこの映画。栄えあるアメリカ映画史上でももっとも最低の映画に選ばれるなんてのも凄い。しかもぼくはこれを実は二度も見てしまったのです。1回目は、確か10~15年位前に当時のサブカルチャー雑誌だった頃の『宝島』で読んで、見てみたくなりビデオか何かで見た記憶があります。当然その時の印象はとっても悪いものでした。だって全く内容を覚えていないくらいだったのです。

 

 そしてついに10年の歳月を超えて再びDVDで(作る意味なし)見る機会に恵まれました。今回は?!...。ん~.....。駄目でした。ひどかったですよ。正味1時間ちょっとの作品が、まるで3時間くらいの大作に思えるほど時間がたちません。

 

 据え置きカメラが更に画面を澱ませていて、演出の妙といったものを全く感じません。脚本にも頭を使った形跡が無く、「特撮」はあざけ笑う意外にすることもありません。毎度おなじみのベラ・ルゴシはワンシーンのみの出演で、もうひとつのお約束である雷もマンネリ感を更に高めています。もっともひどいのは訪問者(宇宙人)の円盤の中の内装と円盤自体の出来です。

 

 言い出すとあれもこれも酷い物のオンパレードです。無理やり良さを見つけようとすると、落ち目のベラ・ルゴシやトー・ジョンソンを律儀に使い続けていくエド監督の思いやりくらいかも。あととりあえず眠くなるので睡眠薬代わりにも良い。力の抜けた笑いを実感できるのもこの作品の特徴です。

 

 良い映画を作ることはとても難しく全ての監督を苦しめますが、反対に最低の作品を真剣に作ることも、とても難しい。どうやったら映画はひどくなるのか。エド監督は全ての彼の作品でそれを成し遂げているのです。『死霊の盆踊り』、『グレンとグレンダ』、『怪物の花嫁』そしてこの作品。

 

 見て得は全くありませんが、これもまた栄光のアメリカ映画史の一部です。とにかくひどい。笑わしてくれたこと、そして「人の振り見て我が振りなおせ」のことわざがぴったり当てはまることを示してくれたことが唯一の功績です。真面目に作っているのに救われない。エドを象徴する一本でした。

 

 まあ、厳しいことを書き連ねましたが、これも映画史の一部ですし、ただ駄目な映画ならば腐るほどある中で、これはどうしようもないほどではあるが、名前を残そうという動きが出るくらいなのですから、どこかに映画への愛情があるのだと納得させています。  一人で見たら馬鹿を見る。みんなで見れば、みんなの馬鹿笑いする顔が見れる。どっちを選ぶ? 総合評価 3点エド・ウッド・コレクションエド・ウッド

エド・ウッド・コレクション [DVD]