良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『宇宙戦争』(2005)まさか同じオチを21世紀に持ってくるとは!古典落語かい!

 素晴らしいファーストシーンとずっこけるエンディング!大量にばら撒かれたCMなどのキャンペーンだけを鵜呑みにして、そのままの勢いで映画館で観たならば、おそらく椅子からずり落ちそうになったであろう作品でしょう。その反応は正解です。  だって、これはSFの古典なのです。それを落語で言うなら古典落語の世界なのですから。言わば『饅頭こわい』や『じゅげむ』などを現代風にアレンジしているのと大差無いのですから、オチが来たところで椅子からずり落ちてしまうのは正常な反応ではないかと思います。  映画を観て、「みんな~!無理に意味を探ったり、感動や驚きを求めに行く必要なんて無いんだよ!」とスピルバーグ監督が問いかけてくるような感覚で当時の僕は観ていました。  お金が湯水のように使われているために、特撮部分の「粗」という点ではあまりぎゃあぎゃあと言えるようなツッコミどころはないのでしょうが、スピルバーグ監督作品だと身構えて、ヒューマニズムだのなんだのを期待していると、単純で都合良過ぎるストーリー展開や人物設定などに脱力してしまうこと請け合いです。     旧作のラスト・シークエンスのところも、エイリアンたちが円盤から出てきたとたんに、地球のバクテリアか何かに空気感染して突然死してしまうというありえない展開でした。50年代ならばとにかく、21世紀を迎えたこの時代で、まさか同じオチを持ってくるとはあまりにも観客をナメているのではないでしょうか。     エイリアンたちは円盤を作って、宇宙空間を飛び越え、わざわざ異星を侵略するほどの科学力があるのに、何故彼らは「観測」と「実験」という科学のイロハが欠落していたのかということこそがこの作品の最大のミステリーなのではないでしょうか。  しかしまあ、何故スピルバーグ監督がこの古典落語のようなお話をわざわざトム・クルーズみたいなギャラが高い俳優を使って作り直さなければいけなかったのでしょうか。どうしてもリメイクがしたいのだったら、自身の唯一の失敗作として彼のキャリア上の汚点となっている『1941』こそ再度彼のやりたいように撮り直して欲しいものです。  絶対に僕は喜んで劇場まで駆けつけるでしょう。だって、『1941』って、スピルバーグを巨匠監督だと思わなければ、かなり楽しいB級作品なんですから!言い換えると『1941』は過去に作った新作落語だと思えば、結構楽しめるはずですよ。 総合評価 62点 宇宙戦争
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