良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ギニーピッグ2 血肉の華』(1985)おぞましい映像の数々。悪趣味の極み…。封印も止む無しか?

 ギニーピッグ・シリーズはそもそもはビデオのみの発売であり、80年代当時に劇場公開されたわけではないので、厳密に言うと「映画」ではありません。また現在見るのが非常に困難になっているため、なかば伝説化している感すらあります。のちに2006年にはじめてイベントで公開されましたが、20年以上経っていますので、これはあくまでも企画であって、公開とは呼べません。

 

 そもそもこの作品が世に広まるきっかけになったのが1980年代後半にわが国に根付いたレンタル・ビデオ業界の急成長だったのは言うまでもありません。その流れのなかで、レンタルやセル・ビデオとしてマニア間でのカルト的な人気があり、流通していたビデオ・ソフトのひとつがこのシリーズでした。

 

 見れば分かるとは思うのですが、これを劇場で公開するにはあまりにも過激であるために陽の目を見なかったのは明らかです。この悪評高いシリーズが世に出るきっかけになったのがレンタルビデオというシステムである。

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 現在、ヤフオクなどではこのシリーズの第一作である『ギニーピッグ 悪魔の実験』と、これに続いて、もっとも悪名高い『ギニーピッグ2 血肉の華』は中古のボロボロのビデオが一万円近くの高額で取引されていることもあります。とりわけシリーズ中でも、もっとも強烈な映像が収録されている『ギニーピッグ2 血肉の華』はあのチャーリー・シーンが本物のスナッフ・ビデオと勘違いして、FBIに通報するほどのリアルさと残虐さを誇っています。

 

 アメリカでは普通にリージョンフリーのDVDボックス(つまり販売対象は日本人のホラーマニアでしょう!)も出ているこのシリーズはある事情により、日本で見られることは永久に来ないでしょう。

 

 その事情とは皆さんご存知の通り、あの殺人鬼による幼女連続誘拐殺人事件のことです。実際にあの男の部屋にあったのはコメディ色の強い『ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん』だったのですが、バラバラに人体を切り刻む描写の多い『ギニーピッグ2 血肉の華』とマスコミにより意図的に(?そのほうがお話としてセンセーショナルだから?)混同されてしまったために、シリーズもろとも闇に葬られることになりました。

 

 製作スタッフとしては監督が日野日出志、キャストに夕顔きららと田村寛(鎧姿のクレージー野郎です!)が名を連ねており、スナッフビデオではないことは明らかなのですが、なぜチャーリーはこれを本物だと思ったのでしょうか。彼の元に送られてきたという、最後のザラザラ映像があるからでしょうか。

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 見たこともない人が語っているのではないかと思うような記事もありますので、今回は実際にこの作品がどのようなものであったのかを検証もかねて、書くことにしました。今年はいろいろと封印作品を取り上げていますので、その一環として、今回も粛々と見ていきます。ただ、いまさらあの残虐な「血肉の華」を見直すのはあまり気持ちのいいものではありませんでした。

 

 最初に見たのは高校のとき、友人たちと一緒に真夏に肝試しをしたときでした。最後に見たのは宮崎事件後すぐで、すでに20年近くたっています。そして今回、さらに20年ぶりに再び見ることになりました。知人がこれのレンタル落ちを所有していたのです。個人的には、これほどの悪趣味の極みであるこの映像をわざわざヤフオクで高いお金を出して買って、自宅のライブラリーに加えるほどの度胸もありません。よって、友人宅で見ました。(しかしまあ、物好きなんでしょうね…。)

 

 20年ぶりとはいうものの、このグロテスクの限りを尽くした映像を、わざわざ再度見るまでもなく、いまでも鮮明にトラウマのように記憶しているのもまた事実なのです。これほど強烈な映像にはその後、出会っていませんし、意図的にホラーなどの分野を避けるようにしていますので、今後も見ることはないでしょう。

 

<以下にどういう作品なのかを解説しますが、かなりグロテスクなストーリー展開なので、ホラーやスプラッターが嫌いな方は読まないほうが良いでしょう。>

 

 ストーリー的には電車の駅から降りてくる女子高生(夕顔きらら)を物色している狂人のおっさん(田村寛)が、狙いを定めて彼女にクロロホルムを嗅がせて、拉致して、廃屋(?)に連れ込むところから始まる。彼女をベッドに縛りつけ、自由を奪った後、狂人は鎧兜に身を包み、恐ろしい殺人鬼へと変貌していく。ここで凄いのは寝ている間は何もしないことである。つまり嫌がらない、怖がらない状態では面白くもないという変態性が明らかになっている。

 

 目を覚まし、異変に気づいた彼女が騒ぎ出すのを楽しんでから、この狂人の悪魔の饗宴が始まるのです。周りを取り囲むおびただしい量の鋭利な刃物を見て、恐れおののく彼女にある注射(注射をすると、痛みが快楽に変わるという代物。)をして、沈静化させた後、彼の本当の姿が明らかになってくる。

 

 ただ、この狂人が彼女の泣き叫ぶ様子や痛がる様子を見たがる変態ならば、麻酔も何も使わないはずですが、それでは阿鼻叫喚の地獄絵図になってしまうので、そういう演出を選択したのでしょう。

 

 彼は生きたまま、彼女を解体していくのです。まずは両手首を切断し、両腕はノミを使って切り落とす。次はヒザ下、おなかを捌いて、腸を取り出す。出血多量で絶命した彼女の首を斧(?)で切り落とし、眼球を抉り出す。それをおいしそうに飴玉のようにしゃぶりだす。

 

 彼女は絶命したが、彼女だけではなく、他にも狂人のおぞましいコレクションが所狭しと並べられている。解体された多くの女性の遺体の一部分が飾られていたり、鉢植えに肥料(蛆が湧いている。気持ち悪い。)として使われているのだ。この損壊した遺体の数々をアップで映した後に、新たな犠牲者を探す狂人の後姿を映して、このおぞましい映像が終わる。                                                            以上。

 

 このような筋書きだったと思います。このなかでも個人的にもっとも衝撃的だったのは手足を切り刻まれた彼女が目を開けて、すでに無くなってしまっている手足を動かそうとしているシーンがあるのです。そのシーンが何よりも怖かった思い出があります。今回もやはり気色悪い映像でした。

 

 特撮技術的に見ると、あの当時の最高レベルの技術だったのでしょうが、あそこまでリアルにやってしまう必要性があるのかは分かりません。それほど本物のように見える恐ろしさでした。ジャンルとしてはスプラッター映画の極限ともいえる内容であり、幽霊モノの多い日本ホラー映画の中では異色のシリーズではありました。

 

 では何故、あの当時にこんなとんでもない映像が普通にツタヤなどのレンタル店に並んでいたのでしょうか。レンタル黎明期だったがゆえに、AVと並び、ひとつでも回転するソフトが欲しかったビデオ屋さんの思惑と、テレビでは放映出来ないような過激な映像を見たがったマニアの思惑が絡み合い、この作品のような残虐な悪趣味ソフトもまた、世に出てしまったのでしょう。

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 これはあくまでも作り物の世界であり、こんなことをする奴はいないだろうという仮定があったからリリースされたのでしょう。しかしながら、あの男がこれをもっていなかったにせよ、見ていた可能性は否定できないのです。それほど普通にどこにでもこの作品はホラーコーナーに置かれていたのです。中には背ラベルではなく、これのジャケットを目に見えるように配置して、話題作コーナーに置いている店舗もありました。

 

 見たものは具体化されたイメージとして、脳にインプットされる。自宅から、これが見つからなかったからといって、あの殺人鬼が見ていなかった可能性は低いのではないでしょうか。ギニーピッグ・シリーズでもマイナーな『ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん」を持っているような狂人が、この作品の存在を知らないはずがありません。

 

 それはともかく、あの事件の後、このシリーズはレンタル店から撤去され、海外ではDVDボックスまであるものの、国内ではDVD化されることもなく、現在に至っている。いまでも当時のボロボロになったビデオをレンタルしている店舗もあるようですが、画質は最悪なのは言うまでもありません。

 

 隠れベストセラー的に、ずっとレンタル屋さんに並んでいた80年代後半という時代、これをシリーズ化して儲けていた奴がいた時代、やはり日本が病んでいたという証なのかもしれません。

 

 見世物映画の歴史は大変古く、有名どころでもトッド・ブラウニングの『怪物團(フリークス)』、エド・ウッドの『死霊の盆踊り』、ライオンに撮影スタッフが噛み殺されるだけの最低なフィルム『グレート・ハンティング』など色々あります。一流とは言いがたいキャストや少ない予算の中でいかに金儲けをするかということのみを考えている彼らにはモラルなどありません。

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 その極限がギニーピッグ・シリーズ、特にその初期シリーズだったのかもしれません。シリーズと何度も書いていますが、正確には『ギニーピッグ 悪魔の実験』『ギニーピッグ2 血肉の華』『ギニーピッグ3 戦慄!死なない男』『ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん』『ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚』『ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイド』『ギニーピッグ惨殺スペシャル』、そして、宮崎事件の後に発売された『ラッキー・スカイ・ダイアモンド』の9本となります。(メーキング物は除いています。)

 

 実際に僕が見たのは『ギニーピッグ 悪魔の実験』『ギニーピッグ2 血肉の華』『ギニーピッグ3 戦慄!死なない男』『ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん』の4本でした。血肉の華までは圧倒的な悪趣味及び残虐さが売りでしたが、死なない男以降はコメディ色が強くなり、特撮もどんどんチャチでチープなものに成り下がっていきました。もう見ることもないでしょう。  総合評価 55点 トップ1%の人だけが知っている「最高のマネープラン」
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