良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ピクセル』(2015)パックマンやコズミック・エイリアンが襲い掛かってくる未来は恐いか?

 1970年代後半、ぼくらが小学生の頃、突然流行り出したのがコンピューター・ゲームでこれの登場後は子供たちの遊び方が激変していきました。  まずは三年生になったとき、近所のお金持ちの友達の家に行くとブロック崩しのゲーム機で一緒に遊びました。原始的なゲームですが、当時は単純に「スゲェー!」と喜んでいました。  そして次の年になると日本中でインベーダー・ゲームが大ブームになり、あちこちの駄菓子屋に導入されたため、ピコピコ音を街で聞かない日が無くなりました。  名古屋打ちとかレインボーとか懐かしい。インベーダー・ゲームが一段落すると『クレイジー・クライマー』『パックマン』『コズミック・エイリアン』などの超人気ゲームが登場してコンピューター・ゲームの隆盛を決定付ける。YMOもファースト・アルバムで『コンピューター・ゲーム』という楽曲を発表しています。
画像
 ぼくらもよくお店でゲームをしていましたが、カツアゲ目当ての不良たちがたむろし出し、ファミコンが普及してきて『スーパー・マリオ・ブラザース』と『ドンキーコング』の大ヒットが気の弱いオタクたちをゲーセンから自宅に逃避させました。  自宅でのプレーが主流になるとシューティング型のゲームではすぐに飽きてしまい、結果として『信長の野望』『三国志』から始まり、家族みんなで楽しめる『ドラゴン・クエスト』などのRPGが多数派となっていきます。  ぼくはファミコン時代には野球ゲームの代名詞だった『ファミリー・スタジアム』、通称“ファミスタ”にハマっていて、毎年改訂版を買ってクリスマスあたりにみんなで遊んでいました。大学生のころはヒマに任せて、友人6人で各チームを決めて130試合のペナントレースをやり抜くというバカで壮大な実践RPGみたいなことを行っていたのもいい思い出です。  バカスカとホームランを打つ選手は試合をつまらなくするので長打力のある選手は最初から二名ずつ外して戦うという飛車角抜きの将棋みたいな状態で楽しんでいました。
画像
 あれから30年。ゲームの主流はスマホなどオンライン・ゲームとなり、より多くのファン層を日々増加させています。そんな感じの最近、映画館に行くと予告編である一本のSFのフィルムを目にします。  それが『ピクセル』です。「パックマンが悪者!?」という台詞と共にパックマンがバクバクと人間たちを爆食していきます。画面はコズミック・エイリアンを迎え撃つ人類の様子を映し出し、ドンキーコングとの戦いへと誘う。  書いていてもなんだこりゃという展開ですが、今年最高のバカ映画としてハナシの種にと割り切って観に行きたい。来週?いや忙しい。再来週?いや予定がある。そのあとは?やってるかなあ!?さてどうなるやら!?  劇場まで行って観に行く価値があるのかどうかは分かりません。ただDVDが来年2月ごろにレンタルで出てきたら、間違いなく借りるでしょう。
画像
 大昔の昭和のゲーセンで活躍していた主要キャラクターが実写画面に合成されている映画が製作されるなんて、うまい棒やよっちゃんいかをつまみ、瓶コーラを飲み干しながらプレイしていたぼくらには想像もつかなかったなあ。  で、結局今日になって観に行きました。半期の決算月なのでバタバタ忙しい日々が続きますが、さすがに抜きどころと集中するところが分かっているので、口では「しんどいなあ。」などと言っているものの「暑いなあ。」と同じくそれほどでもなく、のんびりと働いています。  そうは言っても、今月中に観に行けるのは『ピクセル』『アントマン』くらいでしょう。共通点はバカ映画というところです。『アントマン』て一寸法師との違いは西洋風ユニフォームだけなのかなあなどと思い浮かべています。  難波まで出かけて行きましたが、街へ出ると周りは中国人、中国人、中国人、中国人、中国人、中国人、タイ人、韓国人、また中国人、たまに日本人とベトナム人(たぶん。)という感じで香港化がどんどん進行している。
画像
 こんな感じでヨーロッパみたいに難民だ、移民だと言い出したら、日本が日本人の国では無くなる日も来るのかななんて心配も芽生えます。暴力団を取り締まるのは結構だが、夜の治安を守ってきたのは警察だけではなく、暴力団が果たしてきた役割もあったのは事実でしょう。ついに『ブレード・ランナー』の世界観がわが国を覆い尽くすのだろうか。  そもそも異民族が恐いと感じるのは言葉が通じないからでしょうから、コミュニケーションに問題がなければすんなりと地域社会に溶け込めるのかもしれない。また移民を受け入れることの是非は難しい問題ではありますが、多数の自国からの移民がいる国へ戦争を仕掛けるメリットとデメリットではどちらが大きいのだろうか。  銀河へコンピューター・ゲームなど文化的なカプセルを友好的な証しとして送っても、受けとる者の都合次第では開戦のメッセージやプロパガンダと曲解されたり、利用される可能性が存在するさまは中国を思い浮かべる。
画像
 なんて真面目に考えるのも一興ですが、単純にバカ映画を楽しむという見方で大丈夫でしょうか。侵略者に対抗するのが過去のゲームのチャンピオンたちというのは悪質な中国や北朝鮮政府主導のハッカー集団と戦うホワイト・ハッカー(かつてはゲームに没頭していた非生産的な人々だがある種の専門分野に関しては圧倒的な知識を持つ。)が連想できる。  となるとどうしてもこのバカ映画に込められたメッセージは深刻なブラック・ジョークにも思える。まあ、そんなこんなで結局いつも買ってしまうホットドッグ&ホット・コーヒーをパクつきながらの鑑賞です。内容がコメディなのでお気楽に楽しめるのが良いところです。  しかし一つ腹が立つことに今回は観たくもない3Dしか時間が合わない。平日なので比較的空いているのが救いです。始まってから笑ってしまうのは映像の雰囲気が1980年代の香りをプンプンさせていること。  冷静に考えれば、本物のバカ映画なのですが、なぜか楽しく時間が過ぎていく。パックマンを倒すゴーストが人類でパックマンが悪者という逆転に戸惑います。狭い路地で追いかけっこする様子は『平安京エイリアン』にも見えてきます。
画像
 宇宙に送ったカプセルに出てくる人(宇宙人が地球人にメッセージを伝えるときに分かりやすいように人類の姿でメッセージを送ってきます。)が1982年だったのでロナルド・レーガン、ホール&オーツ(久しぶりにジョン・オーツの動く姿を見ました!)、マドンナ(デビューはいつだったのだろう。ぼくが彼女を認識したのは1984年の『ボーダー・ライン』から。)、エルヴェ・ヴィルシェーズ(たぶん。『フォービデン・ゾーン』に出てくる小人俳優)だったりするのが笑えます。マックス・ヘッドルームやスーパー・マリオなども登場するのでなんだか80年代祭りです。  ゲストも豪華でセリーナ・ウィリアムズやマーサ・スチュアート、そしてパックマンの作者である岩谷教授(そっくりさんの俳優さん。)が登場します。洒落ているのがエンド・クレジットで80年代風のゲーム画面を使って物語を最初から最後まで表現していきます。
画像
 ただ同じように『T2(テッドの続編のことです。)』も80年代ネタが満載でしたが、こちらはどうも「お子様と一緒でも楽しめますよ!」感が見え見えでいまいち盛り上がれませんでした。  途中でバカっぽいアーケード・ゲーマーたちに手柄を浚われていく将軍が嫉妬のあまりエイリアンと密約するなどのシーンがあれば、もっと奥行きが広がったかもしれませんが、特に何もすることなく終わってしまいます。  映画というよりはアトラクションを観に行くという感じの作品ですので酔っ払って観に行くくらいがちょうどよいテンションだと思います。何も考えないで観たら、結構楽しかったですよ。 総合評価 55点