『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)ガメラ!?
今年の夏は連日気温が35度近くまで上がり、熱帯夜が延々と続いていたのが、先週以降はゲリラ豪雨や台風がガンガンきているのが関西です。
ついこの間までは暑かったので、三輪神社の鳥居の前にあるお茶屋さんで素麺を食べに行ったりしていました。家で食べても良いのですが、本場のお店に来ると麺の腰がしっかりしていて、味も良い。
お水が良いのか、何かゆで方に秘訣があるのかは分かりませんが、三輪神社にお参りする度に夏は冷やし素麺を、冬にはにゅう麺を食べるのを楽しみにしています。
関東より北は低温推移で農作物の被害が囁かれ始めていますが、こんなに季候が違うのは珍しい。最近はゴジラ映画ばかり書いていますので、今年は一気にあと数本ゴジラ映画群を書き終えていきたい。
ちなみに黒澤明監督作品でまだ書いていないのは遺作となってしまった『まあだだよ』だけですのでこちらも仕上げていきたい。
そもそも映画ブログを始めたきっかけも黒澤明監督作品を書いてみたいという動機でしたので、とりあえずあと一本まで来たのは感慨深い。
今回の目玉は何といっても監督です。『ガメラ 大怪獣空中決戦 (1995)』『ガメラ2 レギオン襲来 (1996)』『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 (1999)』という平成ガメラ三部作で成功を収めた金子修介監督を招いての意欲作でもあります。
そこで今回取り上げたのは『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』です。出てくるラインナップで見ると『三大怪獣 地球最大の作戦』を思い出しますが、ゴジラの相棒と昭和シリーズのファンに認識されているアンギラスは出てないようです。
というか諸般の事情により、もともとキャスティングしたかったアンギラスやバランは使用許可が下りなかったのか、理由は分かりませんが、ギャラが発生する大御所を呼ぶわけでもないのになぜ使えなかったのだろうか。
代わりにバラゴンがキャスティングされていますが、今回はタイトルには入れてもらえませんでした。スポットライトを浴びるわけでもなく、平田昭彦、小杉義男、沢村いき雄、堺左千夫、田島義文、大友伸、大村千吉や田崎潤のように脇を固めています。
バラゴンに関しては過去にはフランケンシュタインとのシングルマッチでの出演映画もあるのに何故か存在感が薄い不思議な怪獣です。似たような名前の怪獣にバルゴンやバランがいますが、バランのようにモノクロ時代でなく、バラゴンはカラーテレビ世代の怪獣です。
それはさておき、この作品。まったく期待はしていませんでしたが、実は2000年代に製作されたG映画の中では『シン・ゴジラ』が出来るまでは一番出来が良い作品でした。
ガメラ映画のような荒唐無稽な設定が多く、ゴジラの顔も表情豊かでガメラみたいです。白けてしまうかと思いきや、大映怪獣映画のように人間をどんどん吹き飛ばし、皆殺しにしていく根性がある作品に仕上がっています。
悪ふざけをするヤンキー、ゴジラの回りをハエのように飛んでいるマスゴミのヘリが次々に殺戮されていきます。
ゴジラから国民を守ろうと奮戦する防衛軍も犠牲者を増やしていきます。バラゴンやモスラの魂がキングギドラに憑依してパワーアップする描写はメカゴジラにボコボコにされたゴジラにラドンが覆い被さるシーンを思い出させてくれました。現実的かどうかという細かい点を置いといて、せっかく招いた金子監督の能力を楽しみましょう。
新山千春がウザったく、消えてしまえと感じる時間帯がかなりありますが、防衛軍幹部役の宇崎竜童の男気に免じて許してあげましょう。
ただ不満があるのはあれだけモブどもを容赦なく始末し続けたのになぜ竜童や新山をすんなりと始末せずに最後まで生き残らせたかということです。
後先考えずにしっかりと大映テイストでやり切ってくれれば、バッドエンディングになり、より高い評価を獲得できたのになあと考えていました。
地の神、空の神、海の神という設定は日本武尊が出てくる神話のようで楽しめました。最大の敵キャラだったキングギドラをまさかの味方に持ってくるという設定は平成VSシリーズで一度、サイボーグギドラを使って都庁での戦いを仕掛けて以来です。
シリアス路線だけでなくともゴジラはしっかりと向き合えば、まだまだ荒唐無稽で面白いものが出来上がるのだという可能性を感じる佳作でした。
まあ、相変わらずバラゴンは影が薄かった訳ですが、割りと長い間フレーム内で活躍していましたし、三大怪獣スターたちがひしめくなか、そこそこ活躍してくれたので良しとしよう。
だって、ぼくは昔、バラゴンの塩ビ人形を持っていて、彼には愛着があったのです。フランケンシュタインの人形はなかったので、タイガーマスクに出てくるゴリラマンの人形で代用していました。
ゴジラと同じくタイガーマスクやウルトラマンも好きだったので、僕の家ではキングギドラ対ゼットン、ウルトラマン対ゴジラ、バルタン星人対ウルトラセブンなどの夢の名勝負がマーヴェルの映画みたいに繰り広げられていました。
総合評価 75点