映画(タ行)
フランス映画、なかでもロベール・ブレッソン監督作品をどれか一本でも観た人であれば、彼の作品群の根底にある映画芸術を、というよりは人間の存在自体を突き放したような厳しさに触れたことでしょう。そもそも人間は罪深い存在なのであるというところから…
テリー伊藤が総合司会を務める、NHKの深夜番組『テレ遊び パフォー!』のなかで、マニアックな視点と趣味を持ち、さまざまなジャンルの著書で知られる、みうらじゅんが音頭を取って出来た企画に、オリジナルの怪獣映画を作るというものがありました。 そ…
ずいぶんと前に、ジャンプ黄金時代の名作のひとつ、ドラゴン・ボールがハリウッドで実写映画化されると聞き、期待と不安があったことを覚えています。今年になって、CM映像などを見たとき、「こりゃあ、だめそうだ…。」という予想が立ちましたので、劇場に…
「今、豚は太っていない」という思わせぶりな宣伝文句とともに、スタジオ・ジブリがディズニーとタッグを組んで、販売にかかわっているクラシック・アニメ映画で、つい最近DVD化されたのが『動物農場』です。製作国はイギリスで、ヨーロッパのクリエータ…
去年、記事にした『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』の後にカルト映画や見ることの難しい映画の文章を書くに当たり、何を持ってこようかと悩み、『ノストラダムスの大予言』『丑三つの村』『犬神の悪霊』『第三次世界大戦』『九十九本目の生娘』『鬼畜大宴会』…
先週、金曜日に会社が夕方五時の定時で終わったものの、その夜の飲み会が八時からのスタートとなったので、急に三時間ほど空き時間が出来ました。迷うことなく、「じゃあ映画だ!」となったぼくはすぐに近くの劇場に飛び込みました。そうしたら、たまたま都…
人々は古来、洋の東西を問わず、大活躍し、その国の歴史に大きな足跡を残しながらも、惜しくも若死にした英雄について語るとき、その対象を過大評価しがちである。ある者は過度の憧れを抱くあまり冷静さを欠き、またある者はその人物を意味なく貶し、正当な…
今日はたまたま東大阪に行く用事があり、午前中にその用事を済ませてから、駅の近くで見つけたシネコン・スタイルの映画館に行くと、珍しくメンズ・デーというのに遭遇したため、通常よりも格安の料金になっていました。ちょっと得した気分になりました。 い…
とても地味で、味わい深い作品。優しい色調と、分かりやすい内容。奇を衒うことはなく、ただノスタルジーと暖かみを観る者に与える。余計な力が全く入っていないのに、人生において、いったい何が大切なのかをわずか12分で語ってくれるのがこの短編アニメー…
2008年も明け、21世紀が始まり、すでに早くも10年近く経った現在、何の予備知識もなく、そして製作順など歴史を考えずに観ていくと、この『地球防衛軍』はずいぶんと地味な印象を与えてしまうかもしれません。 しかし『地球防衛軍』は東宝特撮映画史…
今年、ヨーロッパで開催された各国映画祭で、配給会社のバイヤー中心に興味をもたれ、おおむね好評だったなどと話題先行の感があったのがこの作品『大日本人』でした。 キワモノ的な単なる思い上がりのタレント映画なのか、それとも映画ファンとしても書籍を…
総合評価 74点 観に行ったのは12月6日、木曜日の初回上映時でした。いつもならば平日のこの時間だと僕の町の劇場では、客入りは半分以下が当たり前になっていて、座席指定はあるものの実際は「自由席」というのがいつもの風景なのですが、今日はなにや…
総合評価 78点 沈滞していた70年代後半のイギリスが生んだ伝説的なパンク・バンドにして、当時のミュージック・シーン最大のアイコン、セックス・ピストルズが1978年の1月にアトランタからサンフランシスコにかけて、最初で最後のアメリカ・ツアー…
そもそも戦争映画と一口に言っても実際にはさまざまで、もっとも一般的なのは「アメリカ万歳!」的な内容を持つ、米国軍事産業や内政に失敗続きの一部ホワイトハウスの政治家が国民の目を現実の敵(つまり自分)ではなく、外国に向けささせるために作られた…
さきごろ惜しくも他界されましたイングマール・ベルイマン監督の問題作『沈黙』(1962)は「神の沈黙」三部作である『鏡の中にある如く』(1961)『冬の光』(1962)に続く最後の一本です。最後の映画作家といえる彼の死は純粋な映画を知る者が…
デンゼル・ワシントンが主演し、トニー・スコットが監督を務めたこの作品。ちょうどこの日はお花見をしていて、雨が降り出したためにお開きにするも、時間に余裕があったので「とりあえず映画でも観に行こうか」ということになり、予備知識も何もなしに観た…
記念すべきスタジオ・ジブリ、栄光の第一作目となったのが1986年公開の『天空の城 ラピュタ』である。前作『風の谷のナウシカ』(1984)で絶大なる高評価を得た宮崎駿監督がファンタジー活劇に真正面から向き合い取り組んだ作品としても興味深い。 …
つい先日発表した空想世界長編『ガメラ対ゴジラ 地球破壊計画』のあとに更新する怪獣映画としての作品はどんなものを採りあげるべきか迷っていました。GXGとは全く違う作品群から仕切りなおすか、さらに濃い作品を採りあげていくか。結論はさらに濃いマニ…
冒頭で音楽とビームの閃光とともに現れるスタッフ・ロールを見たときには「もしかして素晴らしい作品なのかもしれない」という期待を抱かせたのがシリーズ第11作品目となる『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』でした。子供の頃に一度見たきりで大部分を忘れ…
沢村いき雄がいきなり良い味を出して演じるのがまずは嬉しい東宝怪奇人間シリーズの第二作目となるのが『電送人間』です。彼が演じていたのは遊園地に必ずあるお化け屋敷の親方でしたが、この劇団にもし堺左千夫、佐田豊、大村千吉らが入っていればさらに大…
この『抱きしめたい』をはじめて見たのは80年代後半か90年代初めかはっきりとは覚えていません。WOWOWで見る度に録画を忘れてしまい、最後に録画のチャンスがあったのは1998年後半でした。そのときは忘れずに録画準備をしていたのですが、何故…
のちの映画でも多用される勇ましいテーマ曲『ジョニーの凱旋』が幾度も流れる、巨匠ビリー・ワイルダー監督による異色の戦争映画がこの『第十七捕虜収容所』です。口笛で吹かれたり、みんなで勇ましく歌われるこの曲は最高にカッコよい。誰でも一度は聴いた…
仲間由紀恵ファン及び大ヒットTVドラマ『トリック』ファン待望の劇場版第二作目にしてドラマ完結編としての性格を持って製作されたのが『トリック 劇場版2』です。TVドラマシリーズは好評のため第三シリーズまで製作され、途中で2時間スペシャルや劇場…
ローランド・エメリッヒ監督作品というと、『インディペンデンス・デイ』『ゴジラ』やこの『デイ・アフター・トゥモロウ』などCGをふんだんに盛り込んだ(だけ?)スケールの大きな、そして宣伝がド派手な作品の監督を任されているものが印象に残る。 これ…
『TRICK』『ケイゾク』『明日の記憶』『恋愛寫真』『2LDK』そしてこの『チャイニーズ・ディナー』と堤幸彦監督作品を列挙していくと彼の雑食性というか興味の対象の幅広さに驚かされます。どの作品にも彼らしい個性が息づいているのも興味深い。好き…
アマゾン奥地で見つけた謎の化石が発端となって、かの地へ探索へ出かけた科学者たちが、未開地の奥にある黒い入り江で未知の怪物に遭遇し、恐怖の体験をするというお話です。この『大アマゾンの半魚人』は数あるユニバーサル・モンスター映画のなかでも屈指…
小津安二郎監督が1929年に製作したサイレント作品である『突貫小僧』はもともとは四巻物でした。おそらくは40分から50分くらいの作品だったのではないでしょうか。ただ現存するのは短縮版の15分バージョンのみということになります。この15分が…
小津安二郎監督サイレント時代の1933年度作品。巨匠エルンスト・ルビッチの『百萬圓貰ったら』を劇中劇に挿入するセンスは昭和初期の軍国主義的時代において、ずば抜けて斬新だったのではないでしょうか。 またこのルビッチ監督作品から採りあげた「階段…
1975年に公開された、『東京湾炎上』は東宝特撮パニック映画のうちの一本で、いまとなっては誰にも顧みられる事もない『ノストラダムスの大予言』とは違い、今の国際情勢に照らし合わせてみても、過去のものに過ぎないとは言えない、深刻なテーマである…
ドリトル先生という響きがとても懐かしく、たまたまBS2で放送があったようなので、久しぶりに見ようと思い、録画しておいたのを今日見ました。イメージではモノクロだったのですが、実はカラーだった事にまずは驚きました。 30年以上前のおぼろげな記憶…