良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

映画(サ行)

『静かなる決闘』(1949)梅毒と独りで向き合う超人的な青年医師を演じる三船敏郎。

たぶん黒澤明監督作品中でこれまでに自分が見た回数がもっとも少ないのがこの『静かなる決闘』です。主演が三船敏郎なのですが、他の作品とはかなり異質な印象を受けます。 彼の代表作の一つでもある『酔いどれ天使』で観客に定着してしまった悪漢やヤクザと…

『殺人者はライフルを持っている』(1968)ボグダノヴィッチ監督のデビュー作。連続射殺魔がモデル。

『殺人はライフルを持っている』はピーター・ボグダノヴィッチ監督のデビュー作品です。主演にかつてフランケンシュタインの怪物役で人気者になったボリス・カーロフを起用し、しかも彼を怪物や悪役で使わずに人間味のある黄昏時の老俳優として起用していま…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012)いきなり14年後に連れて行かれるシンジと観客!

2009年の夏に『新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が公開されてからすでに三年が経って、ようやく今回の『新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のお目見えとなりました。 Quikeningは急展開の急なので、ここは大風呂敷を広げる回なのでしょう。またQはQuest…

『戦闘機対戦車』(1973)上映時間70分ちょっとの中編ですが、良質のスリリングな戦争映画です!

戦争映画の宣伝で話題になるのは製作費の大きさや出演する大スターたち、そして迫力のあるスペクタクル・シーンであり、中身が問われることはあまりない。 戦争の記憶が鮮明に残っている時期であれば、悲惨さや厭戦気分を色濃く伝える作品が出来上がるが、一…

『ジェレミー』(1973)モテなかったぼくらにはこれこそがリアルな恋愛映画だ!かなり情けないが…。

アメリカなどの欧米を旅した方ならばお分かりでしょうが、現地空港へ着いた途端にあることに気づきます。というか、なんだか違和感が生まれてくるのです。 その違和感の正体は道行く人のほとんどが険しい顔をしていて、カッコよくないということです。ロサン…

『死亡遊戯』(1978)いまでも思い出す巨人カリーム・アブドゥル=ジャバーとの死闘!

『ドラゴン危機一発』(1971)『ドラゴン怒りの鉄拳』(1971)、そしてハリウッド製作の『燃えよドラゴン』(1973)で全世界的な第一次カンフー・ブームの立役者となったブルース・リー。 彼の最後の出演作としてこの『死亡遊戯』(1978)があります。しかし…

『獣人ゴリラ男』(1956)安すぎる!出オチ!エド・ウッドのレベルです。

ずいぶん前からタイトルは知っているし、そこそこ気にはなるものの、わざわざ買ってまでも見たいとは思わない作品がけっこうあります。『獣人ゴリラ男』はそういう位置づけにあった作品で、特撮ファンのぼくへのアマゾンお薦め作品ではかなり上位にランクイ…

『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス』(2011)一番の驚きはフサフサしたチャーリー・ワッツ!!

来年にはデビュー五十周年(!)を迎えようとするローリング・ストーンズが出演した映画のなかで、純粋なライヴ物ではないのは『悪魔を憐れむ歌』のレコーディング風景をジャン=リュック・ゴダールが撮り続けた『ワン・プラス・ワン』のみです。 孤立していく…

『サイコ』(1960)ヒッチコック最大の問題作で有名作品だが、代表作ではない不思議な作品。

一般的な映画ファン及びマニアだけではなく、それと気づいているかどうかにかかわらず、おそらく多くの人々はこの作品からの引用を見たことがあるでしょう。 アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』はそれほどよく知られている映画です。我が国のバラエティ…

『J・エドガー』(2012)アカデミー賞から無視されたクリント・イーストウッド最新作。

カルビン・クーリッジ以来、フーバー、ルーズベルト、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、そしてニクソンと8代で約50年に渡り、彼ら歴代アメリカ大統領たちの数多くの秘密を握っていた悪名高いフーバーFBI長官の名前をはじめて知ったのは今…

『サザン・コンフォート/ブラボー小隊 恐怖の脱出』(1981)ウォルター・ヒルの幻のアクション映画。

この映画『サザン・コンフォート/ブラボー小隊 恐怖の脱出』は関東に住んでいた小学校高学年の頃、東京12チャンネルのたしか深夜放送でやっていたのを一度見たきりでも強烈な印象が残りました。 ずっと気になっていたので、80年代中盤以降のレンタルビデオ…

『実録!UFO大接近/消えた412ジェット機隊』(1974)ぼおーっとしているときに見よう!

なんといってもタイトルが大げさ過ぎる。『実録!UFO大接近/消えた412ジェット機隊』とはまるでなつかしの川口浩探検隊が活躍していた水曜スペシャルのサブ・タイトルのようではないか。この怪しさがたまらない。ただし残念ながら、最近出たDVDのタイ…

『十誡』(1923)映画史上、二度の変革期を生き延びたデミルのサイレント時代の傑作。

メリエスが活躍した20世紀初頭から始まり、ついにもっとも人気のある大衆娯楽に成長した映画業界は技術的にも出尽くしたような表現の向上を見せ、20年代にはサイレント映画黄金期を迎えていました。 しかしながら、我が世の栄華を享受していた大手メジャーは…

『スカイライン-征服-』(2010)低予算なのに、おもいきり広げた大風呂敷をどうするのだろうか?

一昨日に『X-MEN ファースト・ジェネレーション』を観たばかりなのですが、気の向くままに今週2本目の鑑賞になったのが『スカイライン/征服』でした。 『もしドラ』を掛けていた映画館での予告編を見たのみで他に何も情報を得ないで、チケットを購入すると…

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(2010)話題にはなりませんでしたが、良質なコメディでした!

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか?』とはなんとも人を食ったタイトルです。公開されたのは2010年ですので、去年の作品ということになりますが、まったく話題になりませんでした。 しかし、このコメディは思っていた以上にクオリティが高いというか拾い物…

『酔拳』(1978)ジャッキー&ユエン・シャオティエン共演です!懐かしい!楽しい!

ぼくらが住む日本には時代劇があり、アメリカには西部劇があるように、香港にはカンフー映画があります。カンフー映画がはじめて世界的な注目を浴びたのはブルース・リーが活躍していた時代でした。 『燃えよ!ドラゴン』『ドラゴン危機一髪』『死亡遊戯』な…

『ジェット・ローラー・コースター』(1977)あまり知られていませんでしょうが、なつかしの作品です!

先週の日曜日、近所のレンタル屋さんのパニック映画コーナーでふと目にしたのがこの『ジェット・ローラー・コースター』のタイトルが印刷された背ラベルでした。 大型化が進む一方のレンタル屋さんの膨大なタイトルの中から、お目当ての作品をピン・ポイント…

『ジョーズ』(1975)誰もが知ってるあのテーマ。音楽とジョーズ目線の映像が秀逸!

みなさんはスティーヴン・スピルバーグ監督作品中で、一番好きで思い出に残っているのはどの映画だろうか。一番良く出来ている映画ではなく、一番売れた映画でもない。もっとも楽しく、しかも何度も繰り返し見た映画です。 楽しくという括りをつけるだけで『…

『涼宮ハルヒの消失』(2009)ついに劇場版までが登場した。しかしハルヒは脇役のようでした。

ついに去年はハルヒの劇場版までが公開されました。製作年度は2009年で、公開は2010年となります。最初にアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』を見てから、すでに数年が過ぎていました。 ただ、テレビ放送をリアルタイムで見ていたわけではなく、レイヤーさんが街を歩…

『サンタ・サングレ』(1989)やっと再リマスターされボックスが出るが…、これ入ってません…。

先日、なにげなくアマゾンで商品を検索していると、なんと“おすすめ”でヒットしたのが『エル・トポ』のDVDでした。すぐにクリックしていくと、さらに嬉しいことにアレハンドロ・ホドロフスキー作品のボックス・セットが来年三月に発売されるとなっておりまし…

『サマーウォーズ』(2009)楽しく見れるが、なんとも形容しがたいアニメ。

観に行こうかなあと思っているうちにいつの間にか公開が終わっていたアニメ映画でした。その年の日本アカデミー賞で色々な賞を取っていたので、その週にツタヤに行ったときに借りました。 結論としては楽しく見れたのですが、なんとも書きようのない作品だな…

『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』(1991)妻が撮った『地獄の黙示録』のドキュメント。

今回は『地獄の黙示録』の補足として、コッポラの妻が映画撮影中に回していたカメラをもとに製作されたドキュメンタリーを書いていきます。DVD化されていない現状ではなかなか見る機会のない作品で、陽の目を見ないものになってしまうのでしょうが、妻をはじ…

『地獄の黙示録』(1979)パート2 暗殺指令遂行のためカンボジアに向かったウィラードは何を思う?

なんやかんや言いながら、今回の記事を書くに当たって、オリジナル版の『地獄の黙示録』(1979)を2回見て、『地獄の黙示録特別編』(2001)を1回見て、コッポラの妻が撮ったドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス』(1991)を押入れから引っ張り出し…

『地獄の黙示録』(1979)パート1 小学生で観に行って撃沈。今までに6回ほど観ていますが…。

これを観るときは必ず「これで最後だ!なあ、おい!終わりなんだよ!」と言い聞かせつつ、最初に小学生時代に観に行った劇場から数えて、レンタル・ビデオで夜中に2回、8年前の特別編で1回劇場に行き、レンタルDVDで1回、そして何気なく見たBSやCSなど色々な…

『市民ケーン』(1941)最高の映画として知られるが、隠れたフィルム・ノワールの傑作でもあります。

映画の都と形容されるハリウッドでは映画監督になれるのが早くても30代後半だった1940年代に、当時まだ24歳だったオーソン・ウェルズは見事に監督デビューを果たしました。このデビュー作品『市民ケーン』を評して、後世の映画ファンと批評家たちは「これこ…

『素敵な人生のはじめ方』(2006)なぜか未公開だった、モーガン・フリーマン製作&主演の佳作。

最近の映画にありがちな派手さやドラマチックなストーリーとは無縁だが、枯れて落ち着いた大人の雰囲気を持っている希少なハリウッド映画スターであるモーガン・フリーマンが製作と主演を務めたのがこの『素敵な人生のはじめ方』でした。 先日、彼は離婚した…

『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』(2005)ついに30年に渡る旅が終わってしまった。

2005年夏、とうとうこの日が来たという感慨に浸ったのがシリーズ第3作目(プリークウェル第3弾って、言ったほうが良いのかなあ…)の『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』の公開初日でした。 アナキン(ヘイデン・クリステンセン)がグレて、師匠でも…

『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』(2002)ヨーダの勇姿を見よ!

世紀末の1999年に、世界中で大騒ぎしたなかで公開された『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』から三年後の2002年になると、さすがに当時のような熱狂はすでになく、スター・ウォーズにしては珍しく、淡々とした気分で見に行ったのがこの作品…

『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(1999)待ちに待ったシリーズ再開!

1983年に『スターウォーズ ジェダイの復讐』が公開されてから14年が経ったのちに、オリジナル三部作のフィルムに修復と追加シーンが加えられ、特別篇として1997年におさらいの意味を含めて、全世界で上映された翌年、ついにファン待望の新作『スターウォーズ…

『シュレック』(2001)美女は野獣に惚れるのか?ディズニーらしいテーマのひとつをおちょくるDW!

世界で多くの人々に愛され続けているディズニー映画が送り出してきた作風のひとつに美しい者と醜い者が結ばれるというストーリー展開があります。 『美女と野獣』『ノートルダムの鐘』がそれに当たり、夢のある物語に仕立てていました。ディズニーのライバル…