映画(サ行)
たぶん黒澤明監督作品中でこれまでに自分が見た回数がもっとも少ないのがこの『静かなる決闘』です。主演が三船敏郎なのですが、他の作品とはかなり異質な印象を受けます。 彼の代表作の一つでもある『酔いどれ天使』で観客に定着してしまった悪漢やヤクザと…
『殺人はライフルを持っている』はピーター・ボグダノヴィッチ監督のデビュー作品です。主演にかつてフランケンシュタインの怪物役で人気者になったボリス・カーロフを起用し、しかも彼を怪物や悪役で使わずに人間味のある黄昏時の老俳優として起用していま…
2009年の夏に『新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が公開されてからすでに三年が経って、ようやく今回の『新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のお目見えとなりました。 Quikeningは急展開の急なので、ここは大風呂敷を広げる回なのでしょう。またQはQuest…
戦争映画の宣伝で話題になるのは製作費の大きさや出演する大スターたち、そして迫力のあるスペクタクル・シーンであり、中身が問われることはあまりない。 戦争の記憶が鮮明に残っている時期であれば、悲惨さや厭戦気分を色濃く伝える作品が出来上がるが、一…
アメリカなどの欧米を旅した方ならばお分かりでしょうが、現地空港へ着いた途端にあることに気づきます。というか、なんだか違和感が生まれてくるのです。 その違和感の正体は道行く人のほとんどが険しい顔をしていて、カッコよくないということです。ロサン…
『ドラゴン危機一発』(1971)『ドラゴン怒りの鉄拳』(1971)、そしてハリウッド製作の『燃えよドラゴン』(1973)で全世界的な第一次カンフー・ブームの立役者となったブルース・リー。 彼の最後の出演作としてこの『死亡遊戯』(1978)があります。しかし…
ずいぶん前からタイトルは知っているし、そこそこ気にはなるものの、わざわざ買ってまでも見たいとは思わない作品がけっこうあります。『獣人ゴリラ男』はそういう位置づけにあった作品で、特撮ファンのぼくへのアマゾンお薦め作品ではかなり上位にランクイ…
来年にはデビュー五十周年(!)を迎えようとするローリング・ストーンズが出演した映画のなかで、純粋なライヴ物ではないのは『悪魔を憐れむ歌』のレコーディング風景をジャン=リュック・ゴダールが撮り続けた『ワン・プラス・ワン』のみです。 孤立していく…
一般的な映画ファン及びマニアだけではなく、それと気づいているかどうかにかかわらず、おそらく多くの人々はこの作品からの引用を見たことがあるでしょう。 アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』はそれほどよく知られている映画です。我が国のバラエティ…
カルビン・クーリッジ以来、フーバー、ルーズベルト、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、そしてニクソンと8代で約50年に渡り、彼ら歴代アメリカ大統領たちの数多くの秘密を握っていた悪名高いフーバーFBI長官の名前をはじめて知ったのは今…
この映画『サザン・コンフォート/ブラボー小隊 恐怖の脱出』は関東に住んでいた小学校高学年の頃、東京12チャンネルのたしか深夜放送でやっていたのを一度見たきりでも強烈な印象が残りました。 ずっと気になっていたので、80年代中盤以降のレンタルビデオ…
なんといってもタイトルが大げさ過ぎる。『実録!UFO大接近/消えた412ジェット機隊』とはまるでなつかしの川口浩探検隊が活躍していた水曜スペシャルのサブ・タイトルのようではないか。この怪しさがたまらない。ただし残念ながら、最近出たDVDのタイ…
メリエスが活躍した20世紀初頭から始まり、ついにもっとも人気のある大衆娯楽に成長した映画業界は技術的にも出尽くしたような表現の向上を見せ、20年代にはサイレント映画黄金期を迎えていました。 しかしながら、我が世の栄華を享受していた大手メジャーは…
一昨日に『X-MEN ファースト・ジェネレーション』を観たばかりなのですが、気の向くままに今週2本目の鑑賞になったのが『スカイライン/征服』でした。 『もしドラ』を掛けていた映画館での予告編を見たのみで他に何も情報を得ないで、チケットを購入すると…
『裁判長!ここは懲役4年でどうすか?』とはなんとも人を食ったタイトルです。公開されたのは2010年ですので、去年の作品ということになりますが、まったく話題になりませんでした。 しかし、このコメディは思っていた以上にクオリティが高いというか拾い物…
ぼくらが住む日本には時代劇があり、アメリカには西部劇があるように、香港にはカンフー映画があります。カンフー映画がはじめて世界的な注目を浴びたのはブルース・リーが活躍していた時代でした。 『燃えよ!ドラゴン』『ドラゴン危機一髪』『死亡遊戯』な…
先週の日曜日、近所のレンタル屋さんのパニック映画コーナーでふと目にしたのがこの『ジェット・ローラー・コースター』のタイトルが印刷された背ラベルでした。 大型化が進む一方のレンタル屋さんの膨大なタイトルの中から、お目当ての作品をピン・ポイント…
みなさんはスティーヴン・スピルバーグ監督作品中で、一番好きで思い出に残っているのはどの映画だろうか。一番良く出来ている映画ではなく、一番売れた映画でもない。もっとも楽しく、しかも何度も繰り返し見た映画です。 楽しくという括りをつけるだけで『…
ついに去年はハルヒの劇場版までが公開されました。製作年度は2009年で、公開は2010年となります。最初にアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』を見てから、すでに数年が過ぎていました。 ただ、テレビ放送をリアルタイムで見ていたわけではなく、レイヤーさんが街を歩…
先日、なにげなくアマゾンで商品を検索していると、なんと“おすすめ”でヒットしたのが『エル・トポ』のDVDでした。すぐにクリックしていくと、さらに嬉しいことにアレハンドロ・ホドロフスキー作品のボックス・セットが来年三月に発売されるとなっておりまし…
観に行こうかなあと思っているうちにいつの間にか公開が終わっていたアニメ映画でした。その年の日本アカデミー賞で色々な賞を取っていたので、その週にツタヤに行ったときに借りました。 結論としては楽しく見れたのですが、なんとも書きようのない作品だな…
今回は『地獄の黙示録』の補足として、コッポラの妻が映画撮影中に回していたカメラをもとに製作されたドキュメンタリーを書いていきます。DVD化されていない現状ではなかなか見る機会のない作品で、陽の目を見ないものになってしまうのでしょうが、妻をはじ…
なんやかんや言いながら、今回の記事を書くに当たって、オリジナル版の『地獄の黙示録』(1979)を2回見て、『地獄の黙示録特別編』(2001)を1回見て、コッポラの妻が撮ったドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス』(1991)を押入れから引っ張り出し…
これを観るときは必ず「これで最後だ!なあ、おい!終わりなんだよ!」と言い聞かせつつ、最初に小学生時代に観に行った劇場から数えて、レンタル・ビデオで夜中に2回、8年前の特別編で1回劇場に行き、レンタルDVDで1回、そして何気なく見たBSやCSなど色々な…
映画の都と形容されるハリウッドでは映画監督になれるのが早くても30代後半だった1940年代に、当時まだ24歳だったオーソン・ウェルズは見事に監督デビューを果たしました。このデビュー作品『市民ケーン』を評して、後世の映画ファンと批評家たちは「これこ…
最近の映画にありがちな派手さやドラマチックなストーリーとは無縁だが、枯れて落ち着いた大人の雰囲気を持っている希少なハリウッド映画スターであるモーガン・フリーマンが製作と主演を務めたのがこの『素敵な人生のはじめ方』でした。 先日、彼は離婚した…
2005年夏、とうとうこの日が来たという感慨に浸ったのがシリーズ第3作目(プリークウェル第3弾って、言ったほうが良いのかなあ…)の『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』の公開初日でした。 アナキン(ヘイデン・クリステンセン)がグレて、師匠でも…
世紀末の1999年に、世界中で大騒ぎしたなかで公開された『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』から三年後の2002年になると、さすがに当時のような熱狂はすでになく、スター・ウォーズにしては珍しく、淡々とした気分で見に行ったのがこの作品…
1983年に『スターウォーズ ジェダイの復讐』が公開されてから14年が経ったのちに、オリジナル三部作のフィルムに修復と追加シーンが加えられ、特別篇として1997年におさらいの意味を含めて、全世界で上映された翌年、ついにファン待望の新作『スターウォーズ…
世界で多くの人々に愛され続けているディズニー映画が送り出してきた作風のひとつに美しい者と醜い者が結ばれるというストーリー展開があります。 『美女と野獣』『ノートルダムの鐘』がそれに当たり、夢のある物語に仕立てていました。ディズニーのライバル…